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他クラスと合同で行ったハロウィンパーティで恋人宣言を行って1週間―――
始めこそは噂を聞いた男共から下劣な話題も振られたが、男の世界は意外にあっさりしている。
好奇心を満たせるような情報を由唯から聞き出せないと分かると、波が引くように興奮は冷め、今ではすっかり平常運転だ。冗談だと思っていた奴等から事実確認に呼びだされた事も何度かあったが、一貫して事実を肯定すると、それ以上を言われることはなかった。
“興味ない”や”バイクに集中したい”と答えるより、”彼女がいるから”の一言の方がずっと早い。
小噂事に執拗なのは女性の方だろう。
視界の隅で刹那を確認しているが、声を掛けられる姿はよく見る。葵が適当にあしらっているようだが―――それでも恋色毎に疎そうな刹那には、ストレスだろう。
学校では、今までと態度を変えていない。挨拶もするし、いつも通りに声もかける。必要以上に距離を詰める事はしない。
―――女子の会話に男が首を突っ込むと、噂の熱を煽るから止めておけ。
どうしてお前がそんな事知ってるんだよ―――と、心中でツッコミを入れながらも、大人しく颯汰のアドバイスに従っていた。
願い事は、叶えば叶う程―――利己的に、欲張りに なっていく。
―――刹那を、誰にも渡したくない。
刹那にストレスをかけているのに…それを分かっていながら、満足している自分がいる。
足元をに肌寒さを感じた由唯は、ダイニングチェアー立ち上がり、ごはんに夢中になるセツを後ろから抱き上げた。
「みゃぁ!!」
いつもは大人しく腕に抱かれるセツが、身をよじり由唯の腕からすり抜ける。
ちりん…
小さく鈴を鳴らし、一度ちらりと振り向くと、再びごはんの元へ行ってしまう……
無理やり抱き寄せると、逃げてしまう―――
きっと、刹那も。
セツが逃げて空となった両手を、じっと見つめる由唯。
何を―――しているのだろうか。
大事にしようと決めたのに…
君を待つのは嫌いじゃない はずなのに
何を 焦っているのだろうか
心が揺蕩う…自律が乱される―――
余裕なんかない。だけど……
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鈴桜(プロフ) - バイクレース勝った〜〜!!おめでとうです。続き頑張って下さい。待ってます。 (2021年10月5日 22時) (レス) @page42 id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - シオンさん» コメント有難うございます、温かく見守って頂けると嬉しいです。 (2021年10月4日 22時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 可愛いです。セツにチュウルやっての可愛さがあります。続き頑張って下さい (2021年10月4日 21時) (レス) @page33 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年9月16日 0時