恋が叶う学びの園【 由唯と刹那 】８

└ ページ19

(いいなー。彼女とバイクショップでデートか……)

睦まじい様子に羨ましさが過ぎ、ふと愛しい人の笑顔を重ねてしまう。

―――俺も、せっちゃんとバイクショップでデートしたい。

そんな欲求がふつふつと湧き上がり、思わず携帯電話を片手に取った。


が―――。
メッセージを作成し終わった由唯の手が、送信ボタンを押す前に止る。

今からデートしよう…というのは、流石に突如過ぎるだろうか。しかも行き先がバイクショップとあっては、あまりに勝手が過ぎる。

刹那とのタンデムデートの為に揃えたプロテクターは、会社のお姉さんの計らいで長いシーズンを使用できるものばかり。防寒インナーを着こめば初冬までなら何とか使えるだろう―――

(あれこれ買うと、逆にせっちゃんに怒られるよな……)

選んでいた防寒インナーも、急ぎ必要なものではないし、似たようなものは既に家にある。
由唯は、手に持っていたインナーをハンガーに戻すと、片手でメッセージの内容を修正した。

“デートしたい。せっちゃんの空いてる日、教えて”

防寒インナーもウインターグローブも、今ここで買うのは勿体ない。刹那とのデートの口実に取っておこう……


ワクワクが、胸を躍らせる。刹那との事を考えると、楽しくて仕方がない―――

「デートプラン、考えよ♪」

にやけ顔をフルフェイスヘルメットの中に押し込め、由唯はひらりと赤いバイクを翻した。

・
・
・
・
・

隣にキミがいたならば　【刹那side】→←隣に君がいたならば　【由唯side】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す