├ ページ2
＊
由唯くんが言うには知らない子からバイクの調整の相談を受けていただけらしい。
バイクのことだからあんなに楽しそうだったのか。
納得したような、でも何か腑に落ちない何かか胸の中にしこりを残しモヤモヤと渦巻いている。
“ 先生に頼まれた用事―――終わった？ ”
被ったヘルメットの中にあるインカムから聞こえた彼の優しい気遣う声に、ウチは あ、と声が零れそうになるのを必死に抑えた。
本当は違うけど、何故が訂正する元気が無くて
『うん、待たせてゴメンね……』
口から出たのは謝罪だけ。
待たせてごめんね。
説明できなくてごめんね。
“ ううん、全然いいよ。せっちゃんを待つのは嫌いじゃない ”
そんなことを言ったら甘えてしまいそうになるじゃないか。
由唯くんの優しさがじわりと心を暖めてくれる。
タンデムシートに座り、由唯くんの運転で学校を出た。
インカム越しに聞こえる影の彼の優しい声の向こうで思い出すのは先程の女子生徒と話す2人の姿。
凪紗や由唯くんのお友達の沖くんとも楽しそうに話しているところを何度も見てきたけど、その時は何も違和感は感じなかった、けど。
バイクのことだからって分かってるけど…
由唯くんが楽しそうに話している姿は嬉しいはずなのに、なんだろう──なんか嫌だ。
モヤモヤとした何かが胸の奥を漂っている。
握りしめたタンデムベルトで体を引いて彼の背中に少し身を寄せた。
彼の存在を近くに感じて安心したいから。
傾き始めた陽を横目に、ウチは晴れぬ曇り空を心に抱えた。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴桜(プロフ) - バイクレース勝った〜〜!!おめでとうです。続き頑張って下さい。待ってます。 (2021年10月5日 22時) (
レス) @page42 id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - シオンさん» コメント有難うございます、温かく見守って頂けると嬉しいです。 (2021年10月4日 22時) (レス) id: cbd072c832 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 可愛いです。セツにチュウルやっての可愛さがあります。続き頑張って下さい (2021年10月4日 21時) (レス) @page33 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2021年9月16日 0時
