検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:1,790 hit

ページ44

だけど、“その時”は意外に早くやって来る。
始業式を終えた午後、刹那が家を訪ねて来た―――

「由唯くん、ウチ、キミに伝えたいことがあって……」

インターホン越しの、少し慌てた彼女の声に、
いても立ってもいられなくなって……玄関ドアを開け、そのまま刹那の腕を引き入れた。

流れるように腕の中に納まる刹那は、ゆっくりと顔を上げる。
どこか焦っていて、不安そうで―――

『待っている―――って言ったばかりなのに』
「――ッ、ウチ!由唯くんのことが―――」

由唯は、慌てる刹那の唇を、人差し指で押さえた。

「?!」
『―――せっちゃん、慌てすぎ』
―――この玄関入る時、いつもだよね…

「〜〜〜ッッ」
言葉のタイミングを奪われた刹那は、少し不服そうに由唯の顔を見上げる。

普段なら、ここで遠慮してしまいそうな彼女だけど、今日は引き下がる様子はない。由唯の両腕を握り、じっと緑の瞳を合わせて逃がさない。


「お願い、聴いて!―――ウチは由唯くんが好き!」
  ――――友達じゃなくて…大好きです


言葉が終わらないうちに、由唯は刹那の体を抱きしめる。
嬉し過ぎて―――いとしすぎて、どうしていいか分からない。

絶対に離したくない…大切な人が、大好きだと伝えてくれた。



『ありがとう、せっちゃん―――俺も、せっちゃんが大好きだよ』

でも―――もう、好きだけじゃ、追い付かないんだ……



「―――え?」
不安げに、由唯を見上げる刹那の頭を、ポンポンと撫でる。


『刹那の 特別になりたい―――』

せんせいや、妹弟達や――お母さんの次で良いから……
刹那にとっての“特別”になりたい。


『刹那の 恋人になりたい』




―――由唯くんの 恋人(特別)……


(ああ、また困らせてしまったかな……)
返事は 今じゃなくてもいい。
せっちゃんの好きが、特別になる様に―――
  もっと俺の事、好きにさせて見せるから。

└→←特別になりたい  【由唯 side】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:恋叶学園 , 派生作品 , 合作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月9日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。