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どうなりたいの?【刹那side】 ページ39



『じ、じゃあ、また次のバイトでね!』
「せっちゃ──『またね!』」
由唯くんが呼び止める前に、ウチは走って帰った。
バイトの度に、ウチはこれを幾度も繰り返している。
セツの様子も前ほど見に行かなくなった。
行っても由唯くんが不在の時か、居たとしても長居はしない。

まるで逃げるようなこれらの行為をする自分が、すごく嫌になる。


漸く自分の想いに素直になれたと思ったのに、

“『──私は、由唯くんのことが大好きだから。』”

母による間接的な告白紛い発言を由唯くんに聞かれたかと思うと、それだけで動悸が激しくなり目も合わせられない。
こんな状態で彼と長時間話すなんて………無理!
せめて、気持ちの整理をつけてから 直接言いたかったのに。

(ッ〜、お母さんのバカぁ!!!)

家までの道中、ウチは走りながら日本にはいない母に怒りの念を飛ばすのだった。




そんなうやむやな状態が続き……


「……おはよ」

『お、おは、よ……』

夏季休暇の明けた始業式の日。
早めに孤児院を出たはずが、何故か門の前で由唯くんが待っていた。

何とか挨拶は返せた。
会話もセツのことを混じえて普通に話せている……はず。
それでも目を合わせることができないウチを、由唯くんはどう思っているのだろうか。


校門が近くに見えた頃

「──俺、待ってるから」
『え』
「せっちゃんの準備が出来るまで、待ってるから」
言うと同時にウチの頭を優しく撫で、先に校舎内に入っていった。

──ズキン
安堵の息をつくのと同じように
突き刺すような痛みが胸の奥に走りモヤモヤがウチの中を支配する。

急に重くなった足を動かし、久しぶりの学校へと向かった。


「おっはよーand久しぶり!刹那」
『おはよう』
久しぶりなのに元気だね。
そう返すと、友人はにこやかにピースを作り「刹那のおかげで課題も遅れることなく終わったからね!」とご満月な様子。
いつもは休暇中に課題が終わらず学校が始まっても課題をしていたのだとか。
そうなんだ。と、返すと「だから、刹那には感謝してるわぁ!」と抱きつかれた。
久しぶりのスキンシップに少し休まる心。

ふと、目は斜め前の彼の背中に向く。
イヤフォンを耳に入れ振り向く気配もない彼に、ウチはなんとも言えない息を吐いた。

「………で、アンタ達はどうなったの?」
『ふえ?』
「ふえ?……じゃないわよ。アンタと七瀬の『うわぁああ!!』」
ウチは慌てて友人の口を、手で塞ぎ止めた。



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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月9日 9時

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