検索窓
今日:10 hit、昨日:37 hit、合計:1,841 hit

眠れぬ夜は 君のせい 後編 【由唯 side】 ページ32



洗面や、明日の予定の確認を終え、携帯電話のアラームをセットしてベッドに身体を埋める由唯。
横を向くと、隣のベッドで刹那の緑の瞳と視線が合う。

『おやすみ―――せっちゃん』

少しの寂しさと、名残惜しさを感じながら声をかけると、「おやすみ、由唯くん」との微笑の後、くるりと背中を向けてしまう。

由唯は、静かに瞳を閉じた―――



が。

眠れるわけがない。

元々夜型で、この時間は起きて何かしらの作業を行っている事が多い。バイクを走らせ、家に戻っていない事すらある程だ。

おやすみの挨拶から、1時間は経過しただろうか…

ちらりと横に視線を向けると刹那は背を向けたまま全く動かない。微かに聞こえる寝息が、余計に由唯の思考を覚醒させる。

寝なければいけないと思う時程、眠れないのはよくある事だろう。


(まぁ、相部屋を言われた時から、こうなるとは思っていたけどな―――)


さて、どうしようか―――

音を立てると刹那が起きてしまうかもしれない為、パソコンでの作業は諦めよう。ホテルをぐるり散歩…も、今は気分ではない。あれこれ考えた挙句、由唯は荷物の中からワイアレスイアホンを取り出し、Bluetoothを接続した。携帯電話のアプリケーションで、音楽を再生し、頭の上まで布団を被った。

聴いているうちに寝落ちするだろう―――そう、考えていた。

「―――……。――――くん」

頭の上で、かすかに何かが聞こえる。背中側のスプリングが沈み込む感覚に気づき、由唯はハッと上体を起こした。

『?!―――っえ?』
「っわ?!」

小さな悲鳴の方を見ると、寝ていたはずの刹那が驚いた様子でベッドサイドに立つ。
急に起き上がる由唯に驚いたのか、緑の瞳を大きくしばたたかせている。

『せっちゃん?どうしたの―――怖い夢でも見た?』
「え、あ……ううん――」
由唯くんが、まだ起きてるって思って――

下を向く刹那は、両手を組んで指を動かす。
ああ、イアホンの接続に物音を立てていたからか―――

『ごめん、起こした……』
「違うよ、ウチも―――眠れなかったから」
由唯くんが起きてるなら、お話出来るかなって思って。


気を使わさない様に言ってくれているのだろうか、
(―――寝息が、聴こえていたように思うけど……)


くすっ――

由唯は、刹那の気遣いにあえて突っ込むのをやめた。
まだ眠気はないし、刹那が話をしてくれるならむしろ願ってもない事だ。

├→←└



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:恋叶学園 , 派生作品 , 合作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月9日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。