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「え〜っ！由唯くん飲まないの？かわい〜」
「1杯位大丈夫よぉ！お姉さんが許してあげるぅ」
「ほら、刹那ちゃんも―――学校の先生には秘密にしといてあげるから！」
『未成年、です！そんなに飲んで、明日二日酔いとかやめて下さいよ？』
調子に乗る大人達の絡みを適当に受け流す。由唯は、イベントのたびにこの調子な彼らを知っている為今更で驚きもしないが、昼間と性格の変わった大人達に、刹那は若干引いているようだ。
―――巻き込んで、ごめんね？
由唯は申し訳なさを視線で送った。
食事が終わっても、飲みの手を緩めない大人達を置いて、由唯は刹那を連れて席を立つ。
これ以上彼女に酔っ払いの相手をさせるわけにはいかない。
会場の熱気に中てられたのか、暑そうに顔を仰ぐ刹那に、少し散歩をしてから帰ろうと提案した。
「凄いね―――皆さん」
あははと可愛く笑う彼女の、“凄い”の中に、色んな意味が含まれているであろうことを察した由唯は、『遠征の時はいつもあんな感じだ』と苦笑いで答える。
「―――ふぅ。……あ、星が綺麗！！」
彼女に促されるように、由唯は刹那の指差す先を、見上げた。
刹那は、日常の中に溢れていながら気づかない“素敵”を見つけるのが上手だと思う。
彼女の写真は、刹那の純粋な瞳を通して写される“素敵”に溢れている。
『ほんとだ―――』
空に向かって、瞳を輝かせる刹那は 綺麗だ。
一生懸命で、頑張り屋で、お節介で―――危なっかしいくせに、芯の強い女の子。
建物の中にいて、パソコン画面や足元や、世間のどろどろとしたモノばかりを見ていた由唯には気づけないような“素敵”を教えてくれるから。
どうしたら、振り向いてくれるのだろう
どうしたら、特別になれる？
刹那の後ろに立ち、彼女の肩を、後ろからすっぽりと抱きしめる。
一瞬だけびくりと震えた肩も、腕を振り解くことなく、温もりを感じさせてくれるのに―――
―――どうしようか。好きだけじゃ、 追いつかない…もの足りない
君の “特別”になりたい ……
「―――由唯…くん？」
『―――……風が冷えて来たね。部屋に、戻ろうか』
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作者名：しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2021年8月9日 9時
