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(そう言えば、その時も刹那さんの手を引いて、楽しそうに走っていたわね)
あんな表情をするなんて珍しいから、3学年のクラスの席で、友人と一緒に応援していたっけ……。


隣で刹那は両手で口元を押さえている。その頬は赤く染まっていて、照れている姿は可愛らしい。

辺りを見渡すと―――恐らくこの、写真たての裏に挟んでいたのだろう。
隣に置かれた写真には、由唯が満開の桜と、お気に入りの赤いバイクと共に映っていた。


この時から、ずっと由唯は
刹那さんの事が好きだったのね―――

紙を二つ折りに戻し、写真たての裏に挟みなおす。


『ふふっ。これを見ちゃったことは、二人だけの秘密にしましょう?』

初夏が人差し指をそっと口元に添えると、刹那はこくこくと首を縦に振った。



―――― お題: “あなたが大切にしているもの”





眠れぬ夜は 君のせい 前編 【由唯 side】→←├



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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月9日 9時

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