やきもち【刹那side】 ページ45
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こちらは“ やきもち【由唯side】”の別サイドとなります。
先に上記を見ることをオススメします。
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『七瀬くん、セツって……』
「……」
『もう！ゆ、由唯くん！』
「ん、なーに？せっちゃん」
イタズラが成功した子どものように嬉しそうな表情を浮かべる由唯くんに、ウチは不満を惜しみなく表した。
少し前から由唯くんは苗字だと反応してくれないことが増えてきた。
明らかに聴こえているのに。
これはもう確信犯だね。
ウチに名前を呼ばせるための計画的犯行だ。
ウチだって気軽に呼びたいけど、なかなかままならないんだよ？
心の中では何回も呼んでるんだよ？
いざ口にする時、なんとも言えないむず痒さが喉を締め言葉にするのを邪魔してくる。
まるで魔法をかけられたように詰まっちゃうんだ。
もっとスムーズに呼べたらいいのになぁ。
『ねぇ、セツ』
「みゃ〜」
首元の鈴の音が彼女の動きに合わせてコロコロ転がる。
キミのご主人様は意地悪ですねー
みぃ〜
玩具でセツと遊びながらそうボヤくウチなのでした。
『──こんなに必要かな？』
「当然！私達みたいな高校生は頭を使う為に糖分が必要なの！」
ふんぞり返って力説する友人に、ウチは半信半疑で相槌を返した。
今日は夏季休暇の課題をみんなで終わらせる予定。
夏祭り参加用に作られたグループメッセージから派生した今企画は、グループ内の答え合わせの途方の無さに頭を抱えた1人のクラスメイトが終止符を打ったことで成されたこと。
場所は──
「いやーまさか、由唯がこんな広い家に一人で住んでいるなんて思わなかったぜ」
「失礼だな、お前」
由唯くんの家だ。
「お邪魔しまーす！」
『お…お邪魔します……』
ここには何度も来てるけど、友達が同伴してでの訪問は初めてで、それだけで緊張してしまう。
「刹那、手 洗うならそれ持ってくよ？」
『あ、うん。ありがとう』
ウチのルーティンを知っている友人は荷物の袋を預かると先にリビングへ向かっていった。
ウチも手早く手洗いうがいを済ませリビングへ。
セツは……やっぱりいない。寝室かな？
鈴の音のお出迎えがない事に少し寂しさを感じながら、ローテーブルに乱雑に置かれた袋たちを手に取りキッチンの方へと運んだ。
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作者名：しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2021年8月3日 23時
