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ページ39

『じゃ、買って来るよ―――』
「え、今から?」

『バイクで行けば早いし』と、ヘルメットとレッグバックを手に取る由唯。
セツとお留守番よろしく。と、後ろ手を振って玄関を出た。





―――――――――

昼間、母様が大量に家へと持ち込んだ果物を両手に抱え、数軒隣のインターホンを押す。
事前にメッセージを送っておかないと不機嫌になる為メッセージを送ってはいたが、案の定返信はない。きっとサイレントモードにしているのだろう……。

弟―――由唯が母からの届け物を受け取る事は珍しかった。喜んだ母は、これなら食べてくれると大量に果物を持ち込む様になったのだが、日に日に由唯の顔が迷惑そうになっていく。
今日も、昼間に家を訪れたが不在だったと、姉・初夏の家に持ち込み、渡しておくようにと託けられた。

(そうは言っても―――そんなに再々受け取ってはくれないわ……)

突き返される事を覚悟で部屋を訪れると、玄関から出てきたのはふわふわとした髪の、大きな緑の瞳の女の子だった。
一瞬戸惑う初夏に、女の子は申し訳なさそうに声を出す。

「七瀬くん、無塩バターを買いに出ていて……」

連絡した方が良いですよね、と携帯電話を取り出そうとするが、初夏はそれを止めた。

「いいえ、大丈夫です―――きっと直ぐに帰って来るのでしょう?」

無塩バターを何に使うの?と問いかけると、彼女は「クッキーを作ろうと思っています」と答えた。

そう言えば―――先日無理を承知で桃を届けた時、箱を受け取りながらキッチンに声をかけていた。玄関に女性ものの靴が置かれていた為、きっと女の子が来ているのだと思っていたが……

「―――…貴女が”せっちゃん”?」

初夏が問いかけると、黒髪の少女は「はい!」と深々と頭を下げる。



―――クラスメイトの、綿貫刹那です。

由唯の事だから、ただのクラスメイトを家に上げるとは思えない。

それに”せつな”って…

弟が不在の時に時々預かる仔猫の名前に似ている。

「ご挨拶が遅れました―――由唯の姉で、七瀬初夏と申します……」
弟が、大変お世話になっております―――

└→←ラング・ド・シャ 【由唯 side】



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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月3日 23時

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