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やきもち 【由唯side】 ページ29




夏季休暇も後半に入り、クラスメイト達の中に焦りが浮かぶ―――

ヤバい……夏季休暇の課題、終わってない―――。
グループラインで頻回に交わされる“答え合わせ”は、メッセージを複雑化し、余計に混乱を招く。
そして、誰かが言い出した―――

「もう、皆で集まって宿題終わらせようぜ!」





『―――っで、どうして集まる場所が、家なんだよ』

駅や学校から近く、比較的集まりやすい立地にあり、広さのある家―――として、白羽の矢が立ったのが、由唯の家。防音設備の整ったマンションは、学生が騒いだとて迷惑にならず、駅から近い立地は、由唯のようにバイクを持たない学生でも集まりやすいらしい―――。


当初は、家に人が来るのは嫌だと断固拒否していた。
だが今回の勉強会には刹那も参加するという。数名で集まるとはいえ、由唯の家の他に候補に上がった近場の男子生徒の家に刹那を行かせるくらいなら…との私情を呑み込み、渋々了承した。

(せっちゃん、自分の課題は殆ど終わっているくせに……友達に呼ばれたのだろうな―――)

「いやーまさか、由唯がこんな広い家に一人で住んでいるなんて思わなかったぜ」

両手に買い込んだ荷物を抱え、玄関を抜けるクラスメイト達を、呆れた顔で迎え入れる。
集まったのは、由唯と刹那を含めた男女8名。

勉強会をすると聞いていたが、リビングのローテーブルに袋ごと置かれたドリンクや菓子類を見ると、今から宴会でも始めそうな勢いだ。

「お邪魔しまーす!」

後からなだれ込むように玄関を抜ける女の子達の中には、刹那もいる。
唯一この家に入っているはずの刹那が、一番しどろもどろとしている事に、思わず笑いが込み上げた。

「お…お邪魔します……」

(―――ほんと、何回目?)

洗面で手洗い等のルーティンを行う刹那は、他のクラスメイト達から遅れてリビングに入った。
先に入った奴らは、興味深そうにリビングダイニングを見渡す。

『探検に来たんじゃないぞ?さっさと課題を終わらせる―――』
「そう言うなって!スゲーな、ここ…家族で住んでる俺んちより広いぜ?」
『煩いよ、さっさと課題しろ!』

由唯はワザとらしくため息を浮かべた。
まぁ、こうなる事はだいたい想像が出来ていた―――が。

「七瀬、お皿やコップ借りていい?」

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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月3日 23時

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