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「大丈夫?」
「無ッ……理……」
目的地にたどり着いた頃には日も傾いていた。
ベンチに倒れ込み手足を垂らす友人はクラスメイトに介抱されているようだ。

『わぁ!ここに泊まるの?』
本当はテントを張っての予定だったらしいのだが、生徒の要望多数により建物内での宿泊となった。
といっても旅館やホテルといった接待付きものではなく、主催事業や学校等の集団での宿泊研修を目的とした社会教育施設での宿泊な為、夕食は自分たちで作る。
今日は天気がいいから野外で行うことになった。

荷物を指定の部屋に運び(動けない友人の分も)、再び野外に戻ると簡易キッチンが完成しており、みんなは野菜やお肉の準備を始めていた。

ウチもしっかりと洗い場で手を洗い料理に加わる。

『……じゃあ、ウチお米といどくね』
だれもまだ炊飯の準備をしていなかった為、そちらに取り掛かる。
これ、結構時間かかるから早めに仕込まないとね。


『あ、ガス釜だ』
てっきり飯盒(はんごう)かと思ったら
ガス栓と繋がっている業務用の炊飯器だった。
そういえばと周りを見待たすと火元はガスコンロが使用されており、焚き火を使わないところを見ると良心的だなと1人心の中で呟く。

目盛りから見て五升炊きかな。
なるべく大きめのボールにお米を入れていこう。

『んしょっと』
持ち上げてみたはいいもののやはり五升の米……重い。

よたつきながら洗い場に持っていき米を壊さないようクルクル軽く混ぜながら洗う。

「おー、やっぱり手際がいいね、せっちゃん」
『うひゃっ!』
思わず水場から手を上げてしまった。
後ろで「冷たっ!」と聞こえ、ウチは振り向き際に慌てて謝った。

『ご、ごめんね!七瀬くん!』
エプロンに括っていたタオルを差し出すとありがとうと笑顔で受け取ってくれる。

「いや、後ろから声掛けちゃった俺のせいだから」
気にしないで。と言ってタオルを返そうとしてくれている。ウチはそれを両手で押し返した。

『それは七瀬くんが使って』
決して人が使ったものが嫌という訳ではない。
ただ

『今日暑いし汗ふきにでも使って』
少しでも由唯くんの役に……ううん、気を惹きたいだけ。

『あ、ちゃんと新しいタオルだから大丈夫だよ!』
「ふふっ、ありがとう。有難く使わせてもらうね」
タオルを首にかけ、流れた額の汗を拭う。
それだけなのに胸がときめくのは恋をしているから?
ウチは気を紛らわせるように米洗いを再開した。

└→←いざ、林間学校へ【刹那side】前編



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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月3日 23時

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