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ゆいのゆめ 1/3 【由唯side】 ページ3



気が付けば、深い森を早馬に乗って駆け抜けていた。
ここが、夢だという事くらい、直ぐにわかる――

大体、由唯は乗馬などしたことがない。
風を切るすがすがしさと、地面から伝わる振動はバイクの上で立ち乗りしている時に、感覚は近い―――

どこに向かっているのかも分からない。
ただ、真っすぐに馬を走らせていると視界の先に大きな城が見えた。

童話か―――何かのRPGゲームにでも出てきそうな城だな。

重ねて言うが―――由唯はゲームもしたことはない。そんな時間があるのなら、バイクに乗っている。
きっとこれは、俺の脳(イメージ)が作り出した城だろうが……

―――我ながら、随分とメルヘンな頭をしているな。
17歳にもなってこの思考は、色んな意味でヤバい。

いやにリアルに感じる自分の思考に苦笑いを浮かべ、大きな扉の前で馬を降りた。
扉の前には、薄茶色の髪をした―――少女?


『―――……』
いつの間にか腰に据えられた剣に右手を添え、警戒する。
すると、茶色の髪をした少女は扉に持たれかかっていた背を離し、由唯の前まで歩いてきた。

「遅いですよ―――?パパ」
『パパぁ?!』

己の声とは思えないような、情けのない声が喉から零れる。
大体 俺に子供なんて―――


目の前の少女を流し見る。背格好は刹那の弟…結と似ている。だとすれば、年は6歳くらいだろうか―――

(11歳の時の子供とか―――あり得ないだろ)
あり得なくてもおかしくはない…ここは、夢の中なのだから。


おかしいのは、俺の頭か―――。


由唯は軽く頭痛を覚えた。夢の中でも、頭痛はあるらしい……

下を向いていた少女が顔を上げ、その瞳に心臓が不整を奏でた。
薄茶色い長髪に、吸い込まれそうになる若葉色の瞳―――

『―――もしかして、セツ?』

眉を顰めながら、恐る恐ると尋ねると、少女は満面の笑みを浮かべた。

「気が付くのが、遅いです!パパ―――」

そして、くるりと白いワンピースを翻し、由唯の右腕を両手で掴んだ。

「早く、助けに行きますよ―――?」
『助けに行くって……何を?』

「決まっています―――刹那ママを、です!」

(マジか―――?!)



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作者名:しゃっぽ、kohaku x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年8月3日 23時

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