もう1人の22194【約束のネバーランド】 (ページ24)

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「今夜は俺が火の番するから
お前は寝ろ」

半ば強制的なソンジュに疑問を感じつつ
ムジカがまだ寝ていなかったから探すために灯植物を頼りに洞窟内を歩いた。
もしかしたらまた迷子になっているかもしれないからね。

「──」
「──！」
楽しそうなら声が聞こえる。
近づくと明かりが見えて、ムジカとエマが楽しそうにおしゃべりをしているのが見えた。

「この子がフィル！可愛いでしょ！」
「ほんとね」
「こっちの子がシェリー。
オシャレでおませさん」
「この子は？」
「キャロル！まだ1歳
たまにものすごく不機嫌な顔してね……！」
「そうなの？」

『(楽しそう)』
自分とじゃこんなに賑やかにならないからかな心做しかムジカの声色からも幼さを感じる。
完全に出ていくタイミングを逃してしまった自分は何となくその場に立ち尽くす。
ムジカ達からは死角なのだろう、2人は気づくことなく楽しそうに話していた。
頻繁に漏れる笑い声に、暖かいものが自分の心にも浸透していく。
なのになんでかな、ムジカが……どこか遠くに行ってしまうような……。
激しい運動をしたみたいに激しく脈打つ心臓を落ち着かせる為に胸を押え握りしめた。

２人が楽しそうなのに、最低だ。

気づかないで。
そう懇願しながらふらつきながらその場を離れた。

『自分は、どうしなりたいんだろ……？』

ムジカside

「ノーマンに誓ったんだ。
諦めない。
誰１人死なせない。
家族全員連れて出るって。」
1枚の写真を眺めながら言葉を口にするエマの目は優しさと悲しさを混ぜたような色をしていた。

「簡単じゃないってわかってる。
方法だってまだこれから。
でも、私は生きたい！
家族全員(この子たちみんな)と何としても！

家族(みんな)と生きる。
そのためなら
どんな不可能だって乗り越えてやる」
エマは力強く宣言するとこちらを向いてニッと笑う。
それが幼き日のAに似ていて懐かしくなる。

彼女の手にある写真。
そこに写っているのはエマともう1人“ノーマン”と呼ばれる子。
所々面影が妹と重なる男の子。

──多分だけど、自分には兄弟がいたと思う──

もしかしたら、彼がその“兄弟”だったかもしれない。
けれど
2ヶ月前に出荷されたとエマは悲しげに言った。

家族当然の存在が消え、悲しいはずなのにたくましくあろうとするエマに私はある望みが生まれた。

だから

「……エマ、貴女にお願いがあるの」
私は、彼女に託すことにしたわ。

ムジカside 終

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