もう1人の22194【約束のネバーランド】 (ページ23)

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「「「ごちそうさまでした！」」」

『準備は任せてしまったから片付けは自分達がするよ。だから
「じゃあみんなでしよう！」えぇ……』
自分達に任せて早めに休んでと言いたかったのに、次々と片付けを始める子ども達。
そばで見ていたアンナがクスクスと可愛らしく笑っている。

「みんな、少しでもA達と一緒に何かしたいんだと思うよ」
『そう、なの？』
よく分からないが楽しそうならいいか。
集めてくれた器を預かり隅に固めながらひとり無理やり納得することにした。

「えっ！」
誰かの驚く声が耳に入る。
目をつけると、ソンジュと話しているエマ達の姿が。

「脱走者がほとんど居ないって、どういうこと？」
「……そもそも、1口に“農園”と言っても色々あってな。
G F(グレイス=フィールド)みたいな“
高級農園 ”はごくわずか。
ほとんどが……“ 量産農園 ”なんだよ」
「ソンジュっ」

ﾋﾞｸｯ
無意識に肩が揺れる。

「「“ 量産農園 ”？」」

「安価量産型の農園。
劣悪な環境でただ生かし太らせ出荷する

そこで生まれた人間は言葉も解さない。
名前もない。
意思もない。
逃げようなんて、考えもしないよ」
無論、考えても逃げられないだろうがね。

ソンジュの声色に熱は無く、ただ淡々と言葉を並べていた。
ピリつく空気に子ども達の意識がソンジュに集中していく。

『……』
口が乾く。手に背中に嫌な汗が滲む。
器を隅に集めていたから輪の中にいなくとも違和感はない。
この状況が幸いして自分の異変に気づく子ども達はいないだろう。
速まる動悸を抑えるために心臓辺りに手を置く。

ゆっくり呼吸をして自身を落ち着かせた頃意識をソンジュに戻した。

「お前達が鬼のことをどう知り、気づき、逃げて来たかは既に聞いた──が
同じような芸当そう当然にはできないだろう」
出られたとして生きていられるか。
その危うさはお前達も身をもって味わった通りだ。
脱走者には期待できない……だが

“盗難”ならば稀に聞く。

「「！？」」

食欲に負け農園を襲い盗む“鬼”がいる。
ごく稀に
使えるとしたらそこだとソンジュは告げる。

あくまで使い方次第(・・・・・)、だと。

「何にせよ。
高度な知能を持った、お前達みたいな人間は農園外では他にいない。
それが現実」
少なくとも……俺が知る限りではな。

ソンジュの言葉はそこで終わった。

＊