もう1人の22194【約束のネバーランド】 (ページ19)

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第７話ページ19

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スパァン！！

弓矢を射る音が空気を裂く。

薄めの丸太のド真ん中に刺さった1本の矢。
それを射たのは、エマ。

「すごーい、エマ！」

『……覚えるの早くない？』
自分は的から矢を抜きながら呟く。

「Aの教え方が上手なんだよ！」

『……(笑顔がまぶしい)』
向けられた笑顔が眩しくて直視に耐えかね目を細めて後ずさった。

「教え子に負けんじゃねぇぞ」
それを見ていたソンジュは口角をニヤニヤと歪めながら冷やかしてくる。

『この子達が覚えるの早すぎなんだって』

「確かにエマはやっぱちげーな」
同じように弓矢を練習していたドンが先程まで射っていた己の的を見ながら落ち目を感じていた。

『……』
自分はドンの射ていた的の矢を抜きながら思う。
どうして落ち込んでいるのか。

そもそも的に当たるだけでも誇れることなのに……
てか、何故エマを基準にするんだ？
意味がわからん

自分のボヤきが聞こえていたのか、ムジカは宥めるように背中を優しくさすってくれた。
ふと、ソンジュがフードを被る仕草が見える。

「ここから1度地上(そと)へ出て川を渡らなくては。
その前に周りの様子を見てくる」
「気をつけて」
目的地までの道には何度か地上へ出なければならない場所がある。
1度下見をする必要があり、必然的にソンジュがその役割を担う。
ソンジュは強い。
けれど案じずにはいられない。
ムジカの気持ちが分かっているからか、ソンジュも力強く頷いた。

「ソンジュ、地上(そと)に行くの？」
「ああ」
自分も夕飯用の狩りをするために準備していると、ソンジュに話しかけているエマの後ろ姿が目に入った。
他の子どもたちは休憩をとるためにムジカについて行っている。
目をまたソンジュ達に戻す。

内容は、己も連れて行って欲しいとのこと。
地上(そと)を見ておきたい。
絶対に無茶をしないし邪魔もしない。

背中越しだが声だけでもわかる真剣さに折れたソンジュは同行を許可。
自分に目配せしてきたから頷く。
エマに戻った視線。
自然と自分も彼女に向くわけだけど、後ろ手に弓矢を握りしめ震えているのが見えて察した。

「地上(そと)に出たら絶対に俺達から離れるな」
「！うん！『ならついでに夕食もとってきてよ』！A！」
タイミングを見計らって現れた自分に驚くエマ。
手渡されたローブに目を白黒とさせたけど意味をわかったのか了承してくれた。
ほんと、理解が早いね。

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