もう1人の22194【約束のネバーランド】 (ページ14)

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この世界は今どうなっているの？

「何も」

ソンジュが言うに、世界はもうずっと昔からこのままだという。
地球とは違う惑星かと仮説も立てたがそれも違うと即答され
ここが地球で年号も2045年で合っていた。

焚き火の火が揺らめく。

「1つ昔話をしよう」
そういった語りだしたソンジュの影でAが静かにカップに茶を注ぐ姿が見えた。
仮面越しに目が合った気がした。

──かつて世界は広かった。

当時はまだ“農園”も存在しない
広大な世界で数多いる人間を“鬼”は狩って食らい暮らしていた。

食う“鬼(もの)”と食われる“人間(もの)”

“鬼”を畏れ伏する人間もいれば
憎み逆に狩り殺す人間もいた。

彼らはやがて食われるよりも多くの“鬼”を殺し
“鬼”もまた
人間を恨むようになった。

終わらない殺し合い
果てのない恐怖
互いに嫌気が差した頃、人間側から1つの提案が持ち出された。

人間は“鬼”を狩らない。
だから“鬼”も人間を狩らない。
お互い世界を棲み分けよう

「全ての始まりはこの“ 約束 ”だ」
ソンジュの語る昔話に俺とエマは驚愕し言葉を失った。

その“約束”によって鬼と人間の世界が断絶され
この世界は、その“鬼側の世界”。
しかも食用児(おれたち)は、鬼側(こちら)の世界に置いていかれた人間の子孫だとソンジュは言う。

“鬼”は“約束”という契約により人間を狩れない。
代わりに残された食用肉(にんげん)を管理・養殖することにした。

その機関が

「……“農園”」
小さく呟かれた言葉は誰のものかはこの際気にすることじゃない。

だから
あの(予想外の)生態系

だから
あのソンジュの言葉

だから
2014年生まれの監視者(ママ)も農園出身

“約束”が交わされて以降
この世界はずっと昔から鬼の世界だった！！

──人間の生きる場所なんて“最悪”どこにもないんだよ──

まさに“最悪”そのものじゃないか！
しかも1000年……
それじゃいくら逃げても
この世界は……

人間の世界じゃない

これが答え……なんて真実だ！

これが本当に真実なら──

「やったぁ！！よかったぁ！！」
俺とエマと向き合い喜びを分かち合う。
ソンジュとAの頭上に疑問詞が飛んでいることなんか気にするわけもない。

こちらが“鬼の世界”なら

“人間の世界”も必ずどこかに存在する！！

レイside 終

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