七十三 ページ12
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(我ながら、やってしまった)
坂本は行動を起こしてすぐに後悔した。
しかし、もう後の祭り。
目的地付近に近づくと、夏を思い出させるような海の爽やかな香りが鼻を擽る。
もう冬ということもあり、海岸沿いの道は車通りが少ない。
「うぅ、寒」
目的地を示す看板が見えた。
もう目と鼻の先だ。
どきどきと胸を高鳴らせていると、背後から同じ地面を唸るような低い音。
それは坂本を追いかけるように近づいてくる。
(こんな季節にバイクとは元気じゃのう)
海の冷たい風が服越しに伝わってくる。
冷え切っているであろう海を見て、坂本は思わず身震いした。
背後のバイクは坂本から距離を空け、いつでも止まりやすいよう減速気味だ。
見た目は若そうだが、マナーは良いらしい。
(今時の若者も捨てたもんじゃないのう)
内心、そう偉そうに独言ていた。
そんな時、ミラー越しにその若者がこちらに手を振っていることに気づく。
(ん…？知り合いか？)
フルフェイスのヘルメットで顔は見えない。
しかし、体格から察するに女であることは見てとれた。
周りにこのバイク以外、車はいない。
ウインカーを出して、親指を立て止めるよう合図する。
それに続くように、バイクもライトを点滅させた。
会場の近くの駐車場にバイクを止め、ヘルメットを脱いでいると、そのバイク乗りはゆっくりと近づいていてきて、坂本の隣にそれを止めた。
(随分、小柄な女だな)
焦茶色のライダースにジーンズ。
おまけに黒色の革靴。
いかにもバイク乗りと言わせんばかりだ。
顔を覆うヘルメットを外すのを、少し遠慮がちに見ていると、
「っもう！気付いて下さいよう」
「A？！」
現地で待ち合わせる予定だった女が少しむっとした顔をして、坂本を見ていた。
おろされた黒髪は、海風に靡いて絹のようだ。
「おんし、今日も電車じゃ」
「確かに前も電車でしたけど。今日、電車って言ってませんよ、私」
「そういやそうじゃったな。しかも今日は兄貴の乗っとったみたいやし、気づかんかった。すまんのう」
わざとらしくへらへらと笑う。
Aは眉を下げ、溜息一つついて、
「別にいいですよ。こちらこそ…誘っていただき、ありがとうございます」
ぼそぼそと呟いて、
「さ、行きますよ！」
楽しそうに笑った。
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るう - 坂本ざああああああああん”〜！ 最高！！😭 (2022年12月25日 20時) (
レス) @page11 id: ee892c350f (このIDを非表示/違反報告)
Nattu(プロフ) - ぼむぼんさん» わー！ありがとうございます！かわらず楽しくかいていきます！ (2021年9月16日 12時) (レス) id: 8022db4695 (このIDを非表示/違反報告)
ぼむぼん(プロフ) - 続編おめでとうございます！！無理せず頑張ってくださいね！！ (2021年9月16日 0時) (レス) id: cd33b2bf6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nattu | 作成日時：2021年9月15日 23時
