. ページ9
「えぇ！？もしかしてイスマン先生が鼻歌歌ってたのって、Aヌナのこと！？」
いつの間にか、しれっと俺とAの間に入ってきたドンヒョクが、いつも通りの大きな声でそう言った。
どうやらAがこの練習室に来たのは間違いではないらしく、昨日自主練習中にたまたま通りかかったイスマン先生が今日からCルームでレッスンを受けろと言ったのだそう。
「え、イスマン先生鼻歌うたってたの、」
「そうだよ！朝からその話で持ちきりでさ！ヌナのことだったんだ！」
「いや、わかんない…」
「いや絶対そうだって！！ただの練習生はイスマン先生にうまかったなんて言われないもん！」
いつもの悪ガキヘチャンはどこにいったのか、Aの前では目をくりくりさせてかわいらしくしゃべるドンヒョク。
ヒョンにもちょっとくらいそうやって接してくれよ…と思いながら2人のやり取りを見ていると、
ぱち、とAと目があった。
「あの、」
そう言ってこちらを見据えながらAが話し始めたその時だった。
ガチャ、とドアが開く音。
いつも聞いているからわかる。この音は、トレーナーの先生がドアを開ける音。
反射的にみんなばっ！と立ち上がる。ワンテンポ遅れて、Aも慌てて立ち上がった。
「「「おはようございます！」」」
いつも通り、むさ苦しいはずの挨拶に、Aの鈴の音みたいな声が重なる。
先生はこちらをみると、
「あぁ、Aきたのね。先生から話は聞いてます。しばらくはここで一緒にレッスンを受けてもらうから。挨拶して」
Aははい！と返事をした後、部屋の前に歩いていって、背筋をぴん、と伸ばしてから
「AAです！よろしくお願いします！」
そう言ってから頭を深く下げた。
「…じゃあAはマークの隣ね。レッスン始めます。」
Aはぱっと頭を上げると、ぱたぱたと小走りして俺の隣についた。
なんだか嬉しくてAに向かって笑顔を向けると、Aも笑顔を返してくれた。
どきり、と胸が鳴る。
今日はいい日になりそうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 640人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆいか(プロフ) - Lizzさん» 訂正させていただきました、ご指摘くださりありがとうございました！ (2022年3月3日 22時) (
レス) id: ebc0952f7b (このIDを非表示/違反報告)
Lizz - 細かいことですみません、プロフィールの名前のハングルがジウじゃなくてジンウになってます (2022年3月3日 22時) (レス) @page2 id: be82a3e2f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆいか
| 作成日時：2022年3月2日 22時
