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そして昨日、それらを全て聴いたであろう代表に、全員呼びつけられて告げられた言葉は、
「Aのことはもう全て忘れろ。これ以上の言及は許さない。」
そんな、酷く冷たく、僕らを突き放すような言葉だった。
もうここに僕たちの味方をしてくれる人は、ヌナを探している人はいないんだ。そう突きつけられた瞬間だった。
みんな一言も喋らずに宿舎に帰って、リビングに集まって静かに泣いた。
いつもは気丈なミンギュも、滅多に泣かないジスヒョンも、スンチョリヒョンまでが、はらはらと涙を流していた。
「…頑張って活動するんだ、そうしたら、いつかヌナが会いにいてくれるかもしれない。もっと有名になれるように、頑張るしかない」
ホシがぽろぽろと溢れる涙を拭いながら、小さく呟いた。
「…そうだよ、ヌナはきっと、会いに来てくれるよ、!」
涙を堪えながらそう言うドギョムの肩を、隣にいたミンハオが優しく抱いた。
弟たちはみんなで励まし合って、ヌナは絶対大丈夫、また会いに来てくれる、そう言って涙を拭いていたけれど、僕はどうもそんなにポジティブにはなれなくて。
ふと横を見てみれば、
もう涙を拭うことなんてせず、ただどこか一点を見つめながら泣いているジスヒョンとジョンハニヒョン。
いつもは弟たちを束ねて、これからああしようこうしようと指揮を取るスンチョリヒョンも、俯いたまま動かない。
ウォヌとウジは壁にもたれて放心状態で、
そこでやっと気づく。
あぁ、そうか。
ホシはきっと、ポジティブなんかじゃない。
多分誰よりも、この現実を、ヌナがいない今を受け入れられていないんだ。
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作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時