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さっきまでの幸福感があっという間に崩れ去って、僕たちは不安と焦燥感に駆られながら代表の部屋へと走った。






先頭のスンチョリヒョンが、どんどん、と雑なノックをして、ドアの向こうからの返事も待たずにドアノブを捻った。





「…おまえら、なんでここにいるんだ。


それとノックしたら返事を待ってから、」



「…Aは、!


Aはどこにいるんですか、代表!」




代表の言葉をさえぎったヒョンの声は、弱く震えていた。



ドッキリでもしてるんだ、きっとそうだ。だってヌナが、僕らの前からいなくなるわけない。



「…何かと思えば、」



「早く…!答えてください、!」



上擦ったような、スニョンイヒョンの声。





もしかして、後ろのカーテンにでも隠れているのかな。




ちょっといたずらしちゃった、なんて笑うヌナを揶揄いながら許す準備はもうできたから、





だからはやく、






「…Aなら昨日退所した。話は終わりだ。」







そんなこと、あるわけがないじゃないか。














「っ、!待ってください、!まだ話は…!」




「これ以上お前たちに話せることはない。これからもスケジュールが詰まってるんだ、貴重なオフくらい大人しくしてろ」









追いやられるように、代表室から無理やり出された僕たち。









「…そうだ、携帯、!


ヌナに連絡、!」





静まり返って、つい数十分前の幸せが嘘みたいに消えた僕たちの中で、ミンギュヒョンが閃いた、と言わんばかりに呟くと、震えた手でポケットから携帯を取り出した。






ヌナの電話番号を選択して通話ボタンを押せば、すぐに繋がるはずだ。




ヌナに何かあったのかもしれない、僕らを置いていくなんて、よっぽどのことだ。





早くどこにいるのか聞いて、会いに行かないと、










『ーーおかけになった電話番号は、現在使われておりません。番号をお確かめの上、おかけ直しください。』







でも、僕ら13人の中心から聞こえたのは、ヌナの柔らかい、優しい声なんかじゃなく、ひどく冷たく機械的なアナウンスだった。







ミンギュヒョンの手から、携帯が滑り落ちる。





カタン、と音を立てて床に転がったそれを、拾う人は誰もいなかった。









僕らは、一番幸せになるはずだった日に、一番幸せにしたい人を失った。

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設定タグ:SEVENTEEN , セブチ , NCT   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時

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