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まだ状況がうまく理解できていない頭のままで、エレベーターを降りてドギョムに連絡を取った。
「ヒョン、!ごめんね待たせて」
「いや、大丈夫。カフェでゆっくりしてたから」
落ち合ったドギョムにそう返せば、途端に目の前の弟は悲しそうに眉を下げた。
「…ヒョン、最近暗い顔してたから、少しでも気分転換になるかなぁと思ったんだけど、逆に疲れさせちゃったよね」
しゅんとしていつもよりも小さく見えるドギョムの頭を、わしゃわしゃと撫で回した。
「そんなことないよ、俺も楽しかった。ありがとドギョマ」
……おかげで、Aに会えたよ。
口には出さないけど、「ほんと?」と目の前で目を輝かせて笑うドギョムにちり、と心が傷んだ。
それでも駄目なんだ。今は俺のAでいてほしい。
ごめんな、ドギョマ。
そう伝えるようにドギョムの頬を撫でれば、ドギョムは不思議そうにこちらを見つめた。
「…ヒョン、?」
「ほら、帰ろう。
…あいつらに地下でケーキでも買っていくか」
なんて誤魔化すように言えば、また笑顔を咲かせるドギョム。
今日の戦利品の話をにこにこしながら話すドギョムに適当な返事を返しながら、頭はAのことでいっぱいだった。
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作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時