femme fatale (ページ42)

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「俺はいいって…」

「ヒョンもたまには外に出ないと！ほら、服着替えて！行くよ！」

なんて、朝から俺の10倍は元気なドギョムに引っ張られてベッドとお別れ。

カムバックの活動もひと段落したオフの日に、宿舎で一日ゆっくり過ごそうと思っていた俺の計画は目の前ではしゃぐ弟によってまんまと崩されてしまった。

それでもまぁ、ドギョムは楽しそうだし、少しは付き合ってやるか、なんて観念してクローゼットを開けた。

デパートに向かう車の中で、

「ヒョンは見たいお店ないの？」

「んー、とりあえずお前の見たいところ付き合うよ。」

なんて、適当に返したのが運の尽きで。

ある店に入っては色々物色して、時には試着してみたり、買うか悩んでいるうちに他の店に目移りして、また物色して…の繰り返し。

気づいたらもう２時間はたっていて、俺の体力は限界を迎えていた。

「ドギョマ、俺カフェで休憩してくるから、お前はゆっくり見てな」

また新たに服を2、3着見繕って試着室に入ろうとしているドギョムにそう声をかけた。

「…わかった、終わったらそっち合流するね」

なんて、笑って返す目の前の弟。まだお目当てのものには出会えていないらしく、暫くショッピングは続きそうだ。

さて、どこで休もう。デパートの中のカフェやレストランは人が多いし、だからと言って建物から出るのもめんどくさい、なんてふらふらと彷徨っていると、デパートに併設されているホテルに繋がる通路が見えた。

ホテルのラウンジならゆったりしてるし、客層も落ち着いているだろう。

そう思って仕舞えば足は自然とそっちに向かっていて、5分もしないうちにホテルのラウンジに着いた。

適当にドリンクを注文して柔らかいソファに腰を沈める。

もうこのまま寝れそうなところをなんとか堪えてスマホを手に取った。

ドギョムからは当たり前だけどなんの連絡もきていない。

…何十分後、はたまた何時間後になることやら。俺は付き人か。

なんて1人心の中で考えているうちに身だしなみの整ったスタッフがコーヒーを運んできた。