隠していた秘密 ページ39
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side HAECHAN
なんと今日はほぼ全員がどこかしらで個人のスケジュールがある日で、人手が足りないからとヌナもマネージャーとして駆り出された。
俺が朝一番早かったけど、終わりも一番早かった。
まだ太陽が空のてっぺんにいる頃に、道路を歩く人たちを見ながら優雅に宿舎へ帰る。
そして運転席にはAヌナ。
わがまま言って助手席に座らせてもらった。
男が運転するものでしょ、なんて考えもあったけど、こうやってずっと運転姿を眺めているのも悪くない。
本当に、俺ってついてるなぁ、なんてしみじみ思いながら、過ぎていく景色とヌナの横顔を見つめていた。
「じゃあ、お疲れ様でした」
車が宿舎のあるマンションの駐車場まで着いた。
ヌナは扉を開けて、俺が降りるのを待っているけど、俺は座席から立とうとしない。
怪訝そうに顔を歪めるヌナ。そんな顔でさえ可愛く見えてしまうから困る。
「…ヘチャンさん、着きましたよ?」
なんて再度俺に言うヌナの手を掴んで、
「うん、ありがとう。
ヌナ、上がっていきなよ。今日はヌナもこれで終わりでしょ?」
マネヒョンから聞いてヌナのこの後のスケジュールは把握済み。
逃すつもりなんてない。
今日は絶対に、聞きたいことがある。
「…ヘチャンさん、我儘言わないで宿舎入ってください、」
「…プレディス、」
ヌナが呆れたように吐き出した言葉に重ねれば、ヌナの肩がぴくりと震えた。
悪いけど俺は、そういうの見逃さないタイプなんだ。
「…懐かしい名前だよね?ヌナ」
自分で言っておきながら憎たらしい物言いだ。
ヌナは一つため息をついてから、観念したとでも言うようにエンジンを止めた。
「わたしの弱点探しても何もいいことないですよ…」
なんて言いながらおれの後をついてくるヌナ。
いいことあるよ。
だってヌナをもっとたくさん知れるんだもん。
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作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時