君を知りたい ページ35
.
side MARK
上半期の締めくくりと共に、下半期のスケジュールの再確認、目標設定やこれからのビジョンなどをマネージャー陣や会社の人と一緒になって話すミーティング。
ずっと座って画面を見ながら話を聞くのはどうにも退屈だ。
ペンを片手に、スクリーンの横に立ってよくわからないグラフやらなんやらを解説しているAヌナ。
俺は右手でペンを弄りながら、ヌナの姿をぼーっと見つめていた。
「…ということで、こう言った流れで下半期は予定しております。」
何か気になる点や質問のある方はいますか?そう声をかけて、みんなが首を横に振ったのを見てヌナは"ではこれで終了となります。お疲れ様でした。"と言ってプロジェクターを切った。
お偉いさんたちは次の会議でも詰まっているのか、足早にミーティングルームを出ていく。
俺たちメンバーとマネージャー陣だけになった部屋で、みんなそれぞれ資料を片付けたり伸びをしているなか俺はずっとヌナから視線を逸らせないでいた。
「…どうかしました?」
そんな俺に気づいたのか、ヌナは不思議そうな顔で問いかけた。
「あ、いや…
ヌナって綺麗だしハキハキしてて吸収も早そうだし、アイドルとか向いてそうだなぁって…
あんまり興味なかったんですか?」
なんて、ずっと素朴に思っていた疑問を投げかけた。
瞬間、ヌナの身体がぴしりと氷漬けになったみたいに固まって、視界の端にいたマネヒョンが焦ったように身体を乗り出した。
ロンジュンやジェノたちもたしかに、と思ってヌナに視線をやると、
ヌナは手に持っていた資料を静かに机に置いてから、
「…6年半、ある事務所で練習生としてアイドルを目指していましたがデビューできませんでした。
なので向いていないんだと思います。」
なんて、まるで他人事みたいに淡々と告げた。
「お疲れ様でした、失礼します」
ヌナは自分の荷物を手に持つと、そう簡潔に挨拶をしてさっさと部屋を出て行ってしまった。
…あぁ、マネヒョン、聞いちゃダメなことは、事前に言っておいてよ、
1357人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時