femme fatale (ページ29)

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初対面ページ29

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side HAECHAN

第一印象は、綺麗なひと。

これからうちのグループの担当になると言うスタッフさんやマネージャーさんの顔合わせに、その人はいた。

リクルートスーツに身を包みながらも、その綺麗な顔立ちはどうしても目立っていて、周りの奴らもちらちらとその人に目線をやっていたのを覚えている。

ただ、その綺麗な顔に無表情を崩さないその人は氷の様に冷たく見えて、少しは笑えばいいのにと思ったり。

まぁ直接関わることはほとんどないだろうし、なんて適当に紹介の挨拶を聞き流していた俺だったけど、その機会は意外と早く来ることになった。

「俺以外インフルでダウンしたから、今日から1週間、Aさんが代わりにマネージャーとして入ってくれることになった。みんな頼むな」

とマネージャーのチーフであるヒョンが皆んなに告げる隣には、あの綺麗な彼女。

「よろしくおねがいします、」

と頭を下げたその人になんだか心を惹かれて、ちょっとした悪戯心と好奇心で、声をかけた。

「94年生まれなんですよね？じゃあヌナだ！ヌナって呼んでもいいですか？」

「…お好きにどうぞ、」

「ヌナはなんでこの仕事に？アイドルしてそうなくらい綺麗なのに！」

「……」

「もしかしてアイドル好きですか？俺ら目当てだったりして？」

なんて笑いながら声をかける。我ながら生意気だけど、引っかかってくれたらそれはそれで面白いや、なんて。

「…ちょっと待っててもらえます？」

なんて、ヌナはすくっと立ち上がっていった。

お？なになに？脈アリ系？プライベートの番号でも教えてくれんのかな？なんてにやけるのを抑えながら待っていると、

「…え、なに、」

鬼の形相をしたマネヒョンがどすどすと足音を立てながら近づいてきた。

「お前！は！！

Aさん口説いてる暇あったらちょっとは宿舎片付けろ！！！！！」

「い"った！！！」

なんとあの女がマネヒョンにチクりやがったのだ。