幕間 ページ28
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「ヌナ最近全然構ってくれないからつまんな〜い」
「ヘチャナ、」
ベッドの上で、メッセージを返信しているとシャワーから上がったらしい彼がタオルで髪を拭いながら近づいてくる。
「わかってるよ、始めたんでしょ?」
「…うん」
ヘチャンはわたしの髪をひと束掬うと、くるくると指先で弄ぶ。
「エスクプスさんとジョシュアさん?だっけ?もう会ったんでしょ?」
「そう、思ったより早く会えたしすぐわたしに気づいてくれたから良かったよ」
「そりゃ気づくよ。こんな綺麗な人、韓国中どこ探してもいないもん」
そう言って笑うヘチャンの調子の良さに思わず笑みが溢れてしまう。
「早く見せてあげたいね。おれとヌナがこんなに愛し合ってるって」
「…誰と誰が愛し合ってるって?」
適当を抜かすヘチャンの頬を引っ張れば、痛いよぬな!と愛嬌を振り撒くから、呆れてものも言えない。
調子のいい子だし、言葉は軽いけど賢いし私に協力してくれるからヘチャンは大事な存在だ。
「今はおれの片想い。
でもいずれは両想いにするつもりだから」
なんて、指先でいじっていた私の髪に優しく口付けを落とすヘチャン。
その瞳はどうも真剣に見えて、私もおかしくなってしまったのだろうか。
「…全部が終わったら、考えるよ」
そう呟けばヘチャンはくりくりとした瞳を見開いた後、
「…え、!今の本気!?冗談でも信じちゃうからね!」
と嬉しそうに笑って見せた。
なんだかそんなヘチャンが愛おしくて、その唇に自分のものを重ねれば、たちまちベッドに組み敷かれてしまう。
「ヌナはほんと悪い子。
連絡はもういいの?」
ベッドサイドに放り投げられたスマホに目をやりながら、ヘチャンはキスをする寸前のところでぴたりと止まった。
「わかってるくせに、」
そう言って見てもヘチャンはしたり顔で、
「言ってくれなきゃわかんないよ、ヌナ」
なんてこちらを挑発する。
私はそれに乗るように、ヘチャンの首に腕を回してもう一度唇を重ねた。
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作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時