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無心でお茶を飲んで深呼吸すると、部屋のディフューザーなのか、いい香りがしてまた気が動転しそうになる。
考えるな、余計なことは何も。
Aが戻ってきたら一つずつ聞くんだ。聞きたかったこと、すべて。
そう自分に言い聞かせていると、いつの間にかシャワーの音は止んでいた。
少ししてから、ガチャ、とドアの開く音がして、そちらを見てみればAがタオルを片手に立っていた。
「っ、…!」
ぴったりとしたTシャツに、ショートパンツ。
ボディーラインをありありと曝け出している服装に、目のやり場に困る。
一瞬でも目に入ってしまった、女性らしい身体のラインと豊かな膨らみにもう頭がパンクしそうだった。
ぎしり、と2人分の体重が乗ったベッドが軋む。
Aが隣に座ったのがわかった。俺の視線は下を向いたままでなんだか情けない自分の足元だけが映っていた視界に、真っ白ですらりとしたAの足が入ってくる。
「…スンチョルくん、」
甘い声で呼ばれれば、もうおかしくなってしまいそうだった。
「もっとよく、顔見せて?」
そう言って俺の頬にAの手が触れた。
その手に優しく導かれるままに、顔を上げて横を向いて見れば、すぐそこにAの顔があって、
「…大人になったね、」
なんて動く唇に、
こちらを見つめるAの濡れたような瞳に、
さっきまで頭の中で考えていたことなんて全て弾け飛んで、
誘われるようにその柔らかそうな唇に自分のものを重ねた。
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作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時