突然 ページ17
.
side S.COUPS
ーーーー再会は、
あまりにも突然に訪れた。
「ヒョン、ここで停められる?」
スケジュール終わり、撮影場所からマネージャーヒョンに車で送ってもらっている途中。
なんでもない道を通り過ぎたところで、ふと俺は運転中のヒョンにそう声をかけた。
「ここでか?宿舎までまだあるけど、」
「なんか歩きたい気分なんだ。いい?」
「…俺は別にいいけど、気をつけて帰れよ」
なんて言いながら車を端に寄せてくれるマネヒョンにうん、と返事をして、シートに置きっぱなしになっていたキャップを被る。
車が停車したところでシートベルトを外して、バッグを手に車を降りた。
「明日はオフだからゆっくり休め〜」
と声をかけるマネヒョンにひらひらと手を振って、車が遠くなっていくのを見送った。
すこし暖かさを含んだ風がふわりと俺の横を通り抜けていく。
春らしい気候になんだか気分が良くなってくる。
たまには何も考えずに外を歩くのも悪くない。
イヤホンをつけて適当に音楽を流すのもいいけど、たまには何も聞かずに雑踏や誰かの話し声に耳を委ねるのも面白かった。
平日の14時過ぎともあって、街はスーツを着た人ばかりだ。
みんな仕事頑張ってるんだなぁ、なんて他人事みたいに思いながら、次々に目線を移していく。
なんとなく、歩いたことのない道に行ってみたくて、地図なんて見ずにふらふらと行きたい方向に歩みを進めていった。
ぼーっと景色や行き交う人たちを眺めながら歩いていたその時だった。
1357人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時