ゆめのまたゆめ ページ15
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side SEUNGKWAN
「…グァナ、スングァナ、！」
ぼくの名前を呼ぶ、懐かしい、優しくて清らかで、大好きな声。
幻聴だとしても、ずっとずっと聴いていたい。世界で一番愛おしい声。
どうかまた、その声で僕の名前を呼んでと、そう願わずにはいられない。
「…ん、
…え、ヌナ、？」
夢なら覚めないでほしいと願いながら、ゆっくり目を開けると、そこには本当に、本物のヌナがいた。
「スングァナ、こんなところで寝たら風邪ひいちゃうでしょ？」
なんて、眉を下げてこちらを見つめるヌナに思わず抱きつく。
「…スングァナ、？」
あぁ、この感触だ。やわらかくて、あたたかくて、ヌナの香水の匂いに包まれて、今まで必死に抑え込んできた気持ちが心の奥からぶわ、と溢れ出す。
「ヌナっ、ヌナぁ、！」
縋るようにヌナにしがみつく僕の背中を、ヌナはそれは優しく撫で下ろす。
「どこ行ってたのっ、僕を置いて、今までずっと…！」
涙を堪えながら、ヌナにそう言葉を投げた。
「スングァン、どうしちゃったの？
ヌナはずっとそばにいるよ？」
僕の背中を宥めるように撫でたまま、ヌナは優しい声でそう言った。
あぁ、そうか、そうだよ。
あんなに優しいヌナがいなくなるわけないじゃないか。
あの、ヌナがいなくなった日からずっと僕は悪い夢を見ていたんだ。
ヌナはずっと僕たちのそばにいてくれたんだ。昔も、そして今も。
僕の腕の中の暖かい感触を噛み締めながら、ヌナの匂いをいっぱいに吸い込んだ。
甘くて、柔らかくて、女性らしいお花の匂い。
やっと目が覚めた。
ヌナはずっとずっと、僕らの、
僕のそばにいてくれるんだ。
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作者名：ゆいか
| 作成日時：2023年11月26日 23時
