. ページ13
.
結局全部を見返すことも、気持ちに区切りをつけることもできないまま、引き出しを閉じてベッドにうずくまる。
頭まで布団を被れば、暗闇の中でひとりの空間に閉じこもれた。
目を閉じて浮かぶのは、ヌナのことばかりで。
ヌナ、今どこで何をしてるんですか。
会いたい、
ものすごく、会いたいです。
ヌナへの気持ちに区切りをつけるはずが、どんどんと溢れてくる思いにぽろりと涙が溢れる。
きっと無理だ、ヌナへの気持ちを無くすのなんて。
暗い布団の中で1人そう結論を出した。
…もう吹っ切れたフリをするんだ、みんなの前では。
だってまだ、何も捨てられない。
ヌナへの気持ちも、もらった手紙も、賞味期限の切れたお菓子だって、
どれもこれもが大切な、ヌナから貰ったものなんだ。
ヌナ、もうきっと表立って探すことはできなくなるかもしれないけど、それでも僕はずっとヌナを探し続けます。
ベッドから起き上がって、もう一度チェストの引き出しを開く。
ヌナからの思い出ばかり詰まったその引き出しに適当な布をかけてそれらを覆った。
ヒョンたちを心配させないためにも、みんなの前ではヌナの名前はもう出さない。この引き出しの中のものもしばらく封印だ。
でも大丈夫。心の中でヌナを忘れる日なんて1日もない。ヌナを諦めることなんてない。
それでいいんだ。とりあえず今はこれでいい。
これで少しでもみんなの辛さが減るのなら、きっとこれが正解だ。
引き出しを閉じて、そのまま部屋を出た。
1357人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆいか | 作成日時:2023年11月26日 23時