. ページ49
.
「…もう煮えたかな」
ぐつぐつと音を立てているスープをひとさじすくって口に運ぶ。
「…おいしい、よね」
いつもは適当に調味料やなんやら入れて作っているけど、Aちゃんが食べるとなると急に普段気にならないことが気になってしまう。
嫌いな野菜は入ってないか、味は濃すぎないか、そもそも俺たちの味覚とAちゃんの味覚はおんなじ様に感じられるのか、
「…ま、考えたってしょうがないんだけど、」
口に入れたスープは俺にとっては美味しくできていた。
ぐつぐつと煮えるトマトスープを見つめながらAちゃんを思い浮かべる。
「…いい匂いだったなぁ」
Aちゃんの荷物を持ったとき、Aちゃんが近くにいて、酔ってしまいそうなくらいの香りに驚いた。
それは俺たちの本能を刺激するような、ひどく魅力的な香りで、
煮え立つ赤を見つめながら、
「Aちゃんの血、美味しそうだなぁ」
ぽつりとつぶやいた。
もうこれ以上何か手を加えてももっと狂ってしまいそうな気がして、火を止めた。
大きめのマグカップにスープを注いでスプーンと一緒にトレーに載せて持っていく。
Aちゃんは気に入ってくれるかな、口に合うかな。
もしかしてこれでおれの料理好きになってくれたらここにすみたくなってくれるかも？
そしたらすごい手柄なんじゃない？おれ！！
なんて思ったのも束の間、
でも逆に料理の味が好みじゃなかったら…？この館でまともにご飯作れるのなんて俺くらいだし、Aちゃんの口に合わなかったらどうしよう、なんて一気に不安になる。
まぁでも…これからAちゃんはずっとここに住むんだし、とりあえずおれの料理を食べてもらって、味の好みも好きな料理もこれから教えてもらえばいいよね。
なんて思いながらAちゃんのいる部屋へと急いだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1272人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆいか(プロフ) - ノエルさん» ノエルさま、コメントありがとうございます💌嬉しいお言葉ありがとうございます🥲続きが気になると言っていただけると書いた甲斐があったなぁとすごく嬉しいです🥲不定期更新にはなりますがまた是非見にいらしてください♡ (2023年5月14日 23時) (
レス) id: ebc0952f7b (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - とっても先が気になります、いきなりのコメント失礼しました、更新頑張ってください！ (2023年4月9日 23時) (レス) @page49 id: a45be39e5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - こあらさん» こあらさま、コメントありがとうございます！不定期更新にはなるのですが、楽しんでいただけるように更新頑張りますのでまたぜひ見にきてやってください（ ; ; ） (2022年9月16日 1時) (レス) id: ebc0952f7b (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - りなさん» りなさま、コメントくださりありがとうございます（ ; ; ）自分の妄想の詰まりまくった設定なのですが、そう言っていただけると凄く嬉しいです！これからも不定期にはなりますが更新していくのでまたぜひ見てやってください！ (2022年9月16日 1時) (レス) id: ebc0952f7b (このIDを非表示/違反報告)
こあら(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！！！！！！！！ (2022年9月13日 22時) (レス) @page30 id: f22e255f37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆいか
| 作成日時：2022年7月17日 23時
