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ーパーティールームー
その後はバタバタと時間が過ぎていき、なんとか無事にお茶会は始まった。
選ばれた生徒が見守る中、エプロンドレスに着替えた姫がそれぞれにケーキと紅茶かコーヒーを目の前で配るその姿に生徒達は頬を赤らめた。
配り終えた姫2人が可愛く飾られたテーブルでティータイムをしている姿を見て、これまた生徒達はうっとり。
もっとも、うっとりしているのは生徒達だけではなかった。
美味しそうなケーキを前にした山田も目を輝かせている。
1口食べてあまりの美味しさに満面の笑み。
その様子を会場の角から見ていた八乙女が小さな声で「なるほど」と呟いた。
その隣にいた中島と岡本が不思議な顔をする。
中島「何がなるほどですか?」
八乙女「ん?あぁ。実はケーキを作っている時に薮から姫の分だけそれぞれ違う種類のケーキを作れと言われたのだけどな」
岡本「会長から?」
八乙女「そう。その理由が分からなかったが山田の様子を見ていて分かった」
中島「何でです?」
八乙女「まあ、見てろ」
八乙女はニヤニヤしながらお茶会の様子を楽しそうに見た。
理由が分からない中島と岡本はお互い顔を見合わせて首を傾けていた。
一方、中央の姫スペースでは……。
山田「副会長。すげぇよな。これをレシピ見ただけで他の人に指示して自分でも作ってさ」
知念「へ〜。さすが副会長だね」
ケーキを1口食べた知念もあまりの美味しさに感嘆した。
山田「しかも途中で会長が何故か分からないけど違う種類のケーキを作れって言われて、ある材料だけでもう1種類作ったんだよ。すげぇよな」
知念「だから僕と涼介のケーキが違うのか」
お互いのケーキを見比べながら知念は「さすがだね」と1口食べた。
それを見ていた山田も同じようにケーキを見比べる。
山田「知念のも美味しそうだよな」
なんてキラキラした目で言われて知念は小さく息を吐く。
知念(なるほど。そういうことね)
会長の意図に気付くと自分のケーキをフォークに刺して、山田の前に差し出した。
知念「食べる?」
勿論、姫スマイルを忘れずに。
山田「やったぁ。有難う」
目の前に差し出されたケーキにさらに目を輝かせながら、それを口に頬張る。
その瞬間会場にどよめきが走った。
「可愛い……」
「くぅ〜。天使を見た!」
「幸せすぎる〜」
感嘆の涙と言葉が会場に溢れた。
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作者名:hina | 作成日時:2018年3月19日 15時