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以前、薬草を採って帰ってきた涼介は岩山の過酷さに死の淵をさ迷った。

目が覚めた涼介に侑李は涙を流しながら言った。

侑李「ご免なさい。僕は君に無茶な事をさせすぎた。許してほしいとは言わないけれど、僕から離れないでほしい」

この時の涼介には彼が何を言っているのか分からなかった。





無茶とはどういう事だ。

許すとは何だ。

離れる理由があるのか。




何故、目から水が流れているのか。





疑問だらけの彼に涼介は1つだけ分かった事があった。

それは。

侑李「あの岩山にはもう二度と行かないで」

もちろん彼がこれを言った理由は分からなかったけれど「岩山には行くな」という事だけは理解した。

なのに。





コマンダー(俺は何故、命令に背いて岩山を登っている)

こんなことをしてもドクターは喜ばない。

「二度と行かないで」と言った彼の教えにコマンダーは背いている。

ただ、メディカル室から聞こえてきた「薬草が残り少なくなってきた」というドクターの声に昔の言葉が過った。




『薬草。採りに行ってよ。って言うかなくなる前にあんたが採りに行くのが当たり前でしょ。あそこは普通の人間には危険な場所なんだから』




足は自然と自室に向き、石を掴むと岩山に転送していた。







コマンダーが薬草を持って帰還した。

大量の汗を流した事による脱水。

高温の岩による外傷と熱傷。

有毒ガスによる悪心、目のかすみ、呼吸不全、痺れなど。

それらを身にまとい、コマンダーは意識を失った。




ドクターの涙に視線を固定したまま。



 



前回と比べると岩山に行っていた時間はかなり短い。

死を左右する程の状態でもないし怪我もしていない。

治療時間は前回より短い。

カプセルの中で眠るコマンダーとモニターに映るデータを交互に見てドクターはホッと息を落とした。

しかし、すぐに顔面蒼白の彼が倒れる姿を思い出していたたまれない気持ちになった。

彼はどんな思いで立ち入り禁止の岩山に行ったのだろうか。

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作者名:hina7 | 作成日時:2021年10月20日 18時

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