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バレットが晴希の隣に到着する。
晴希「た……て。おに……ん」
しがみつく力が限界からなのか恐怖からなのか晴希は上手く声が出せなかった。
バレット「必ず助けるから頑張るんだ」
晴希が小さく頷いた。
ギーク『バレット!今の状況は?』
バレット「子供は限界に近い!俺も自分の体を支えるだけで精一杯だ。自由になるのは左手だけ。だがそれも長い時間は無理だ」
ギーク『了解。スピリットストーンを子供に向けて』
バレットは何とか顔と体を捻り、右の耳にあるスピリットストーンを子供の方に向けた。
ギーク『そのままで』
スピリットストーンから出現した光のロープが2人を繋ぐ。
ギーク『もうすぐコマンダーが頭上の部屋に着くから。それまで耐えて』
バレット「分かった」
ギークからの通信が切れると晴希の表情が更に険しくなる。
晴希「もう…だ…め」
バレット「もう少し。もう少しだ!ここで諦めたらお母さんはどうなる!」
晴希「………!」
バレット「お前がいなくなったらお母さんは一人になる!誰がお母さんを守るんだ!」
晴希「……母…ちゃ…ん。父ちゃ…んと約…束した…母ちゃん…を守る…と」
バレット「だったら!頑張れ!」
晴希が頷くとぐっと手に力を入れた。
それでも限界はとっくに越えていて、手は震えていた。
ガチャン!
コマンダー「バレット!」
窓が開く音とコマンダーの声が同時に頭上から聞こえてくる。
コマンダーの顔を見た瞬間、バレットの中で安心感が生まれた。
晴希も同じだったのか表情が和らぎ、緊張が解けた。
瞬間。
晴希の手が石垣から離れた。
「「!!」」
晴希の体が壁から離れる。
バレットは咄嗟に左手を伸ばして晴希の脇を抱えたが、衝撃でバレットは石垣を掴む右手が外れた。
同時に体の重心が後ろに傾き、足を踏み外した。
コマンダー「バレット!!」
コマンダーは必死で両手を伸ばしてバレットの右腕を掴んだ。
コマンダー「くっ…」
バレット「コマンダー!!」
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作者名:hina7 | 作成日時:2021年10月20日 18時