Phantom thief ～月光の宝石～ (ページ49)

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今だって同級生が居なくなればいいと願った。

その後にナイフを持った男に襲われた。

慧(最も俺が庇って、あいつらは逃げたけど……。待って…)

慧「もし、俺が庇わなかったら、あいつらは……」

涼介「君の願いどおり死んでいただろうな」

慧「…………」

体から血の気が引いていく。

無意識とは言え、自分はとんでもない事を願った。

いくら自分をいじめていた奴らだと言っても、死んでしまうのは嫌だ。

しかも、自分が願ったせいで。

慧「良かった……」

心の底からほっとする。

涼介「ところでさ。その石だけれども」

慧「あ……」

涼介「さっきも言ったけど、あんたにとって良くないものなんだよな」

石は慧が思ったことを実行し、代わりに生命を削る。

自分にふりかかるだけなら、まだいい。

でも、また同じことを願ってしまうと今度こそ、あいつらは命を落としてしまうかもしれない。

いや、あいつらだけとは限らない。

慧「どうしたらいい？」

涼介「浄化する」

慧「浄化？」

涼介「俺にはその石が必要なんだ。浄化して持って帰る」

慧「うん。どうぞ」

浄化とかダークストーンとか何のことか分からなかったがこの石のせいで人の命が失われるところだった。

それだけは分かった。

その根拠は何処にもないが。

涼介はダークストーンを受けとるとダイヤモンドを取り出し、浄化した。

黒く染まっていた石が徐々に輝く。

そのあまりの美しい光景に慧は目を奪われていた。

ダークストーンの浄化を目撃した日から慧はITについて猛勉強した。

涼介を探す為にはそれが一番使えるスキルだと思ったからだ。

慧はダークストーンに同級生の事を直接、願った訳ではない。

それでも、思ったのは確かだ。

そして、ダークストーンはそれを願いとして叶えた。

もし、慧が同級生を庇わなかったら、その者は死んでいた。

慧(一歩間違っていたら、俺は人殺しになっていた)

実際に慧は何もしていない。

当然、法で裁かれることはない。

でも、慧の中では『自分が願った』という事実は一生消えない。

結果的には慧が庇って事なき事を得たがダークストーンがある限り、同じ事が起きる可能性はある。

だから、ダークストーンを浄化してくれた涼介に感謝した。

もう一度、会いたいと思った。

会ってお礼が言いたい。

あの日、庇った同級生が青い顔をしながら戻ってくると彼は姿を消した。

深紅の色をしたアレキサンドライトを残して。