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屋敷の中に入れなかった宏太と圭人は他の警察官と共に唯一許された庭で屋敷を囲みながら、中の様子を伺っていた。
宏太「やっぱり、外からじゃ分からないな」
圭人「俺にもっと力があれば、中の警備を説得出来たのに」
宏太「圭人のせいじゃない。どんな奴でも説得は無理だろうよ。あの爺さん相手じゃ」
今、中で何が起こっているのか全く分からず、若干の苛立ちを覚えながら、宏太は屋敷から視線を外した。
足音が2人の耳に届くとそれは徐々に近付いてきた。
宏太と圭人の視線の先には侑李がこちらに向かって走ってきている。
宏太「あれ?裕翔はどうした?事務所まで迎えに行ったんだろ」
侑李「え?来てないの?僕、途中で他の人に呼ばれて別れたんだ」
圭人「そうなんだ。でも、中島くんはまだ来てないよ」
侑李(まさか……)
悪い予感を胸に抱きながら、侑李は屋敷を見上げた。
y-ELLOW-voiceの3人は防犯シャッターの前で足止めを食らっていた。
侵入したときには通れた廊下が今は塞がれている。
スペード(雄也)「防犯シャッターなんて、どんだけ金かけてんだ」
ダイヤ(光)「それだけ大事ってことだろ。ここにあるものが」
エース(涼介)「おい。ジャック。どうなってる?廊下がシャッターで塞がれてるんだけど」
通信機に手を当てアジトで補佐をしているジャック(大貴)に連絡を入れる。
ジャック『それがさ。急に防犯が作動したんだ』
ダイヤ「あの爺さんがやったのか?俺達を逃がさない為に」
スペード「それはないだろ。あの爺さん、ダークストーンから解放されたんだから」
ジャック『実は解除のパスワードが変わっててさ。今、処理してんだけど、なかなか出来ないんだ』
スペード「おいおい。なんだそれ。解除出来ないって……」
ジャック『解除できないわけじゃないんだ。パスワードを入れるとすぐに別のパスワードに変わるんだ』
ダイヤ「は?それって誰かに妨害されてるってやつか?」
「まずいじゃん」と呟くダイヤの後ろでエースが顎に手を当てる。
エース「似たような事が前にもあったな」
スペード「前……。『夕陽に染まる街』か!」
ダイヤ「そういえば、あの時もパスワードが変わってて、ジャックが手こずっていたっけ?」
エース「まあ、何にせよ。こんなところで足止めを食らってる訳にはいかない。クリスタルを使って解除してくれ」
ジャック『了解』
それから、防犯シャッターが解除されたのは3分後だった。
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作者名:hina | 作成日時:2020年10月4日 21時