第10章 1 ページ21
相原優衣は病院の屋上にいた。
診察を受けて、薬を貰って、後は帰るだけ、なのだがこのまま家に帰りたくなかった。
屋上から見下ろす町並み。
いつか自分はこの町からいなくなる。
そう思ったけれど『悲しい』という気持ちはなかった。
あるのは『生きたい』という思いだけ。
優衣「私はあの人と生きたい」
誰もいない屋上で優衣は呟いてみる。
薬の入ったビニール袋がカサリと揺れた。
まるでその願いは叶わないと現実を突き付けるかのように。
優衣「あの人と共に歩みたい」
もう一度、現実を打ち消すかのように呟いた。
「だったら、いいのものがありますよ」
後ろから突然、声を掛けられて振り向いた。
1人の青年が笑顔を浮かべて立っている。
優衣(いつの間に人が来たの？)
扉が開く音はしなかった。
歩く音もしなかった。
優衣は青年に不信感を持った。
関わらない方がいいと優衣は足早に青年を通りすぎた。
しかし。
優衣は次の言葉に足を止めた。
「貴方の病気は治ります」
優衣はゆっくりと振り向く。
「これからも生きて行けますよ」
優衣(何を言っているの？この人は……)
彼は怪しすぎる。
そう思うのに優衣は何故か青年の言葉を無視できなかった。
優衣「私の病気は治りません」
「いいえ。治ります。これを飲めばね」
差し出された青年の掌には小さな粒が1粒あった。
怪しすぎる。
優衣は飲まない方がいいと思った。
思ったが。
「これを飲めば、貴方は生きられます」
優衣(生きられる)
「彼と共に生きたいのでしょう？」
優衣(彼と共に生きたい)
その言葉が優衣の判断を狂わせた。
そして、次の時には薬を飲んでいた。
その1週間後、突然、優衣の体を黒い靄が包み、それが消えた時には魔物に取り憑かれていた。
涼介が優衣から見た映像を全て話し終わるとダイキがため息をつきながら涼介に視線を向けた。
ダイキ「なーんでそんな大事なこと黙ってたんだ？」
涼介「そう言われても…。あの時は堀池さんがいたし。その後は裕翔が塞ぎ込んでたし。その内……」
声がだんだんと小さくなり、最後には途中で口を閉ざしてしまった。
そんな涼介の変わりに侑李が答える。
侑李「忘れたんだ」
涼介「……うっ」
図星をさされ涼介は言葉を詰まらせた。
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hina(プロフ) - JUMPLOVEさん» お久しぶりですね。まあ、2歳なので……。覚えてるのは難しいでしょうね(笑) (2019年11月22日 20時) (
レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - お久しぶりです！！…涼介はダイキとの契約の時のこと覚えてないんですね 笑 続き楽しみにしてます♪ (2019年11月22日 0時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - NMダイキング担さん» すみません。返事を返していない事に気付きました。もう少し、物語は続くのでお付き合い下さい。 (2019年11月11日 20時) (レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
NMダイキング担 - これからどうなるのか、気になり過ぎます！！！！ (2019年10月19日 0時) (レス) id: 238f9174c4 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - JUMPLOVEさん» すっごく伝わります。ただ、コメント忘れても大丈夫です。楽しんでくださってると思うだけでも嬉しいですから。本当に有難うございます。 (2019年10月17日 21時) (レス) id: 3a7570e4ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hina | 作成日時：2019年9月6日 20時
