とある兄弟の未来物語 2

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涼介「…………」

和やかな雰囲気の中、ふと視線を感じてそちらに目をやれば、いつの間にか涼介が立っていた。

光「涼介。お前も食べるか？アイス」

侑李「冷たくて美味しいよ」

光兄と侑李がにっこりと微笑む。

けれども涼介は首を横に振り「いらない」と一言。

光「そうか…」

明らかに落胆している光兄。

光兄、可哀想。

俺は立ち上がり、涼介に近付いた。

大貴「まあまあ、まあまあ。1回食べてみなって。ほんとに光兄のアイスは美味しいから」

後ろから涼介の両肩をムンズと掴み、強引に椅子に座らせた。

涼介「ちょっと、大貴兄さん！？」

大貴「ほい！」

俺はアイスを1口すくうと涼介の口の中に入れた。

涼介「むぐっ……」

光「大ちゃん！そんな無理矢理…」

大貴「まあまあ。どうよ。美味しいだろ。光兄のアイス」

涼介の口元を見ると、小さく口を動かしている。

その様子を俺達はじっと見つめる。

すぐに涼介の口の動きが止まった。

裕翔「どう？美味しい…よね」

裕翔が恐る恐る感想を求める。

涼介からどんな感想が飛び出すのか、俺達は興味津々。

光兄なんて、どこか緊張している。



涼介「……冷たい」



ぼそりと小さな声で呟く涼介。

おいおい。

感想それかよ。

大貴「他にもあるだろ。『甘い』とか『美味しい』とか」

涼介「甘い…？美味しい…？」

俺達は「美味しい」と言ってくれる涼介を思い描いていただけに、首を傾げている涼介に唖然とする。





侑李「な…んで？美味しいよね。美味しいはずだよ！」

裕翔「そうだよ。なんで分からない！」

圭人「光兄が作ってくれたアイス！」

3人の驚きが怒りに変わる。

光兄なんて言葉を失ってる。

なんで！

なんで分からないんだよ！

光兄がせっかく俺達の為に作ってくれたアイス！

俺はもう一度アイスをすくって、涼介の口に持っていく。

大貴「もう1回食べて見ろよ！分からないはずない！」

涼介「まっ…待って…」

アイスから避けようとする涼介。

何で避けるんだ。

そんなに美味しくないのか。

欲しくないのか。

俺の怒りと共にもう1口、アイスが涼介の口に入る。

涼介「…………」

今度は何も言わない。

侑李「何で黙ってるのさ」

悔しい。

俺はぐっと手を握る。





宏太「何をしているんだ！」

宏兄の声が響いた。

顔を上げれば、宏兄と雄兄そして慧兄が立っていた。

宏兄の姿を見つけ、泣きそうになる圭人と侑李。

光「宏兄…」

光兄まで目を潤ませていた。

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