こーた 1 ページ37
治療から目覚めた俺を待っていたのは雄也からの説教だった。
雄也「ほんと。皆には辛いときは言えって言っておきながら、自分が倒れるし」
宏太「はい…」
雄也「逆に皆に心配かけるし」
宏太「はい……」
雄也「守るどころか頼りないし」
宏太「返す言葉もない」
雄也「要するに宏太は欠点ありの長男」
宏太「…………」
雄也の言っている事は合っている。
俺は完璧な長男になれなかった。
長男失格。
その文字が浮かんだ。
雄也「それが普通なんだからな」
宏太「え？」
雄也「完璧人間なんてこの世にはいないだろが」
確かにそうなんだけど……。
雄也「長男失格。なんて思ってたんだろ」
宏太「…………」
雄也「宏太が長男失格なら俺達は弟失格だ」
宏太「そんな事…！」
雄也「そうだろ。長男には心配かけるし。言うことは聞かないし」
宏太「違う！お前達は悪くない。俺がしっかりしないから。俺が頼りないから」
雄也「その通りだ。宏太は完璧な長男じゃない。だから、俺達がいるんだ。お前、最初に言っていたじゃないか。『兄弟、支え合って生きていこう』って」
宏太「あぁ。覚えてる」
あれから、随分と日にちは経った。
それでも俺は昨日の事のように覚えている。
衝撃的な事実を聞かされた後の決意だから。
雄也「お前の言ってる『兄弟』って言うのは『長男と弟が支え合って』っていう意味じゃないだろ。『9人共に』って事だろ」
宏太「……あっ」
雄也「やっと、分かったか」
雄也の言うとおりだ。
俺は父さんの最後のメッセージを履き違えていた。
父『お前は長男だ。俺に変わって、兄弟の中心となって皆を守ってくれ』
父さんは『長男として弟を守れ』とは言っていない。
長男の俺が中心になって皆で守る。
皆とは弟達じゃない。
俺を含めて皆なんだ。
宏太「ごめん。俺が悪かった」
雄也「うん」
雄也が微笑む。
が、すぐに笑顔は消えて、真っ直ぐに俺を捉えた。
雄也「宏太」
宏太「ん？」
雄也「『宏太は責任感が強い。宏太のブレーキとなって一緒に歩んでほしい。皆を守ってくれ』」
宏太「それは……」
雄也「俺への父さんの最後のメッセージ」
宏太「…………」
雄也「もし…さ。弱音を吐きたいときに長男という肩書きが邪魔したら、俺に相談してよ。双子だろ。俺達」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 230人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hina(プロフ) - 半チャーハン大盛さん» 有難うございます。最後まで頑張ります。ところで私は「様」を付けるほど偉くないので気軽に呼び捨てでいいですよ。 (2019年1月23日 21時) (
レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - JUMPLOVEさん» 有難うございます。お言葉を励みに頑張ります。 (2019年1月23日 21時) (レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
半チャーハン大盛(プロフ) - hina様の作品はどれも面白くて、とても続きが気になるような作品ばかりで驚かされてます!!今回の作品も毎日更新を楽しみに待ってます!!体調に気をつけて頑張ってください。応援してます!! (2019年1月23日 1時) (レス) id: d24a986904 (このIDを非表示/違反報告)
JUMPLOVE - とても見入ってしまう作品でした！！！更新頑張ってください！！！楽しみに待ってます！！！ (2019年1月22日 2時) (レス) id: f4e667ae46 (このIDを非表示/違反報告)
hina(プロフ) - 渚さん» 2度目のコメント有難うございます。これから色々分かってきますのでお付き合い下さい。 (2019年1月7日 20時) (レス) id: 0f49b991e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hina | 作成日時：2018年12月20日 20時
