とある兄弟の未来物語 2

こーた ページ13

俺の証明カードに涼介から連絡が来た。

侑李を見つけたが、左足が骨折しているかもという事と後頭部に怪我をしていると聞いた。

俺は涼介から送られてくる信号を頼りにそちらに向かった。





侑李の無事を祈りながら走って行くと前方に侑李を抱えた涼介が見えてきた。

宏太「涼介！」

大きな声で名を呼ぶと涼介も俺の存在に気付いてくれた。





涼介「宏太…兄さん。はあ…はあ…」

涼介の息が上がっている。

侑李を抱えて、どれだけの距離を歩いて来たのか…。

宏太「涼介。ご苦労様。あとは俺が抱える」

涼介「おねが…い…」

侑李を引き取ると涼介は深呼吸をする。

宏太「よく頑張ったな。有難う」

涼介「うん。腕が疲れた」

流石に侑李を抱えて走ることが出来ず、俺と涼介は早歩きで家に向かった。





途中。

侑李「宏…兄？」

意識を取り戻した侑李の口から弱々しい声が聞こえてきた。

宏太「侑李！？」

侑李「僕は……」

宏太「侑李大丈夫か？痛みは？吐き気は？」

侑李「足が…痛い。ど…して」

宏太「階段の下に倒れていた所を涼介が発見したんだ」

侑李「う…ん。僕…階段から…落ちた…」

宏太「そっか。怖かったな」

侑李の瞼が閉じられる。

また、意識を失ったのか？





そう思ったが違った。

侑李「宏兄。ごめんなさい。僕…知らない内に2年経って学校選択期間がいつの間にか短くなってて…」

宏太「今は無理して話さなくてもいい」

侑李「裕翔は自分の好きな事見つけちゃうし。でも、僕はやりたい事も将来なりたいものも全然なくて」

宏太「うん…」

侑李「そうしたら、僕、焦っちゃって。仲良かった友達もいないし。都市から出れないし。本当に将来大丈夫かな？って不安にもなって」

宏太「………」

侑李「宏兄達に八つ当たりした。ごめんなさい」

宏太「いや。俺の方こそごめん。侑李の気持ち。全然、考えていなかった。眠っていた2年は知らない内に過ぎたけど、将来の事を考えたら2年は大きいよな」

侑李「ううん。僕もごめんなさい」

宏太「侑李の気持ちは分かったから。これからは一緒に考えていこう」

侑李「うん。有難う」

侑李は小さく笑って、今度こそ、静かに目を閉じた。

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