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黙って聞いていたおばあちゃんは話が終わると「そんなことがあったのね」としみじみと頷いた。
涼介「ねえ。初代って天ノ一族の初代?でも、何だか天ノ一族とは違うような気もしたけど」
祖母「そのとおりよ」
おばあちゃんの説明では、初代は天地ノ一族の初代だと言う。
巫女である初代は祓い師でもあり、術師でもあり、代弁師でもあった。
つまり、天地ノ一族は元を正せば同じ一族。
だから、今でもお互いに交流がある。
時代が進むにつれ、3つの力を持てる程の霊力の持ち主が徐々に減ってきて、代わりに1つの力だけを特化して持つ者が増えた。
それに合わせて天地ノ一族も2つに別れた。
涼介「そっか。僕、全然知らなかった」
祖母「まあ、本当はもっと大人になってから教える事だったからね。封印されてた悪霊と初代の関係も」
涼介「おばあちゃん」
祖母「うん?」
涼介「今回の事、全部兄ちゃんズと大ちゃんに話していい?」
だって、兄ちゃん達はずっと自分を責めている。
それがよく分かるんだ。
だから、今回の件は初代のせいなんだよって言って、気持ちを少しでも軽くさせたい。
祖母「そうだね。初代には悪いけど、ちょっとだけ悪役になってもらおうか」
涼介「うん。ちょっとだけね」
それから、僕とおばあちゃんは兄ちゃん達に話した。
悪霊と初代の関係。
初代と天地ノ一族の関係。
僕と初代の関係。
そして、初代が悪霊を祓うために兄ちゃん達を利用した事。
初代の霊力を貰って僕の体質が変わった事。
僕の体質。
悪霊を吸い込み、病気になりやすい弱い体。
1つだけ言えなかったのは副作用の事。
代弁の力を使ったあと、眠ってしまう体質。
おばあちゃんには言ったけど兄ちゃん達には言えなかった。
おばあちゃんは。
祖母「ごめんね。本当なら、このまま何もせずに過ごしてもらいたいけど、天ノ一族である以上そうもいられない」
と頭を下げていた。
でも、いいんだ。
これは僕が受け入れた事。
僕はこれから代弁師として生きていくんだ。
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作者名:hina | 作成日時:2023年5月20日 8時