代弁師 2 (ページ45)

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『ええ。あれの闇は思ったよりも深く、町に影響を与えた。でも、あれを祓うには今の貴方の霊力では不可能。だから、私は貴方の内側へと誘った。結果、あれを祓う事は出来たけれど、貴方の霊力を全て奪っていってしまった』

涼介「僕はどうなるの？ずっと、眠ったまま？」

『いいえ。残った私の霊力を貴方に渡します』

涼介「でも、そうしたら、貴方は」

『私はいいのよ。既に死んでいる身だから。その代わり、貴方の体質が変わり、一生、副作用を抱えることになる。それでも？』

彼女は僕の意思を聞いてきた。

そんなの、答えなんて始めから決まっている。

彼女もそれを分かって聞いている。

涼介「いいよ。皆を悲しませたくないからね」

特に兄ちゃん達と大ちゃんには。

きっと、今回の件で自分を責めている。

もし、僕が目覚めなかったら、兄ちゃん達は一生、自分を許さないだろう。

『それじゃあ、協力してくれて有難う。それから、貴方を苦しめる事になってご免なさい』

宝珠が僕の体に入り、彼女の体が薄くなっていく。

涼介「名前！貴方の名前を教えて？」

消える間際、彼女は『紗琉(さりゅう)よ』と微笑んだ。

そうして、僕は3週間ぶりに目を覚ました。

目覚めてすぐに僕の目に飛び込んできたのは、泣きながら歓喜と謝罪を繰り返す兄ちゃん達と大ちゃんの姿だった。

本当はそんな事ないよって言いたかったけれど、闇が残る僕の体は思うように動かず、話も上手く出来なかった。

それから、発熱と解熱を繰り返しながらも少しずつ、体が動くようになって、話も出来るようになった頃、おばあちゃんが僕のところに訪ねてきた。

祖母「なかなか来られなくてごめんね」

涼介「仕方ないよ。おばあちゃん、忙しいもん」

おばあちゃんが僕の顔をじっと見つめる。

涼介「何？僕の顔、変？」

祖母「いんや。急に大人になったと思って」

涼介「？」

祖母「これも初代の影響かね」

え？

初代ってあの人の事だよね。

何で知っているのだろう。

祖母「フフ…」

涼介「え？」

祖母「ごめんね。凄く不思議な顔をしていたから。そうだね。涼介と初代の間に何があったのかまでは知らないけれど、涼介の体の中に眠っていたのは知っていたよ。もちろん、涼介の体質が変わったこともね。それは初代のせいだろ」

僕は頷いた。

流石、おばあちゃん。

何でも分かっている。

僕は眠っていた時の事を全て話した。