代弁師 2 (ページ41)

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大貴side

本当に俺は馬鹿だった。

ちょっと、皆より力が強くて。

ちょっと、皆より優れていて。

ちょっと、皆より上手くいって誉められた。

だから、調子に乗ってた。

自分の力を過信していた。

故に俺は悪霊の強さを見誤った。

結果、俺は取り返しのつかない事をした。

明日、叔父さん達が到着次第父さんと叔父さん達3人が御祓に入り、涼介の中にいる悪霊を祓う。

地ノ一族トップ3が集まり、御祓までする。

それだけ、悪霊は強い。

俺はその意味を改めて噛み締めた。

その日の夜、俺は父さんの部屋に行った。

父さんはいつもの笑顔で俺を迎え入れてくれた。

その笑顔に俺は気持ちが緩んだのか、父さんの膝の上で大きな声を出して泣いた。

俺が落ち着いた頃、父さんは言った。

伸幸「大貴。悪霊は人間や動物など全ての生き物の負の感情から生まれる。負の感情が大きければ大きいほど悪霊も強い。その事は大貴も知っているはずだ。私達祓い師は悪霊に対して、決して傲ってはならない。強い悪霊ほど簡単に人を騙す。いいね。決して、悪霊に対して油断も慈悲の心も持ってはいけないよ」

今の俺の心に響く言葉だった。

父さんは続ける。

伸幸「今回の件でもしかしたら、涼介君の将来に支障をきたすかもしれない。もし、そうなったら、一生を掛けて償いなさい。それがお前の罪滅ぼしだ」

そうだ。

俺がくよくよしていても涼介は治らない。

起きてしまったものは元には戻らない。

だったら、涼介にとって一番いい方法を選択していこう。

俺は涙を拭き、父さんの目をしっかりと捕らえてから、頭を下げた。

大貴「当主。俺の大事な友達を助けて下さい」

すると、頭上からいつもの優しい父さんの声とは違う祓い師として引き締まった声が聞こえてきた。

伸幸「心得た」