代弁師 2 (ページ39)

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涼介side

長い、長い、夢を見ていた。

僕達は再び、封印の岩に来ていた。

何も出来ない僕は兄ちゃんズに止められたけれど、無理矢理着いてきた。

だけど、この行動が後に兄ちゃんズと大ちゃんを苦しめる事になるなんて、この時の僕は、気付きもしなかったんだよ。

木の影に隠れて僕は兄ちゃんズの様子を伺っていた。

ここから動かない事。

それが兄ちゃんズとの約束だったから。

兄ちゃんズが配置につくとそれぞれ数珠を取り出し、お互い顔を見合わせ頷いた。

しめ縄を大ちゃんが切ると穴を塞いでいた大きな岩にひびが入り、いとも簡単に砕けた。

ガラガラガラと大きな音が辺りに響き、砂ぼこりが高く舞い上がる。

しばらくすると時が止まったかのように音のない世界が広がった。

刹那、ぽっかりと開いた穴から強風が飛び出し、景色をグレー一色に変えた。

大貴「慧！光！結界！」

光「おう！」

慧「OK！」

グレー一色の景色に黄金の結界が輝く。

大貴「来る！」

大ちゃんの言葉どおり、穴から闇に包まれた悪霊の上半身がゆっくりと姿を見せた。

兄ちゃん達より倍の大きさと圧倒的な闇に僕の体が震える。

光「くっ…。これは…かなりの強さ…だ」

慧「大ちゃん。早くして。長くは…もたない」

大貴「分かってる！」

悪霊の真正面で大ちゃんが長い数珠を広げ、唱える。

数珠が光り、輪の中から閃光が飛び出し、悪霊を襲った。

悪霊が苦しみの音を響かせながら、体をよじる。

大貴「やった…」

数珠を構えたまま喜びの声を小さく上げた。

だけど。

次の瞬間に閃光は弾かれた。

大貴「そんな！？」

慧「大ちゃん！これ以上は！」

大貴「待って！」

光「ダメだ…。押さえて…いられない」

大貴「もう少し、頑張って！」

慧「ごめん！」

兄ちゃん達の体が弾かれ結界は、消えた。

再び、悪霊が動き出した。

大ちゃんの体も弾かれる。

ーわれを…だし…てくれて…れ…いをいう…

闇を撒き散らしながら、悪霊の低いダミ声が響く。

僕は恐怖と吐き気でその場に膝をついた。

冷や汗を流し、胸を押さえながら、真正面を向く。

兄ちゃん達は地面に座り込み、体を震わせていた。

ーれいに…おまえたちの…れいりょ…くをもらう…

悪霊の体から3本の闇が兄ちゃん達に伸びる。

ダメ…。

このままじゃ…。

兄ちゃん達が…。

涼介「ダメーーー！！！」

僕の声が闇の中を貫いた。