代弁師 2 (ページ38)

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光side

悪霊が次々と村人を襲い、封印することになった。

封印するためにはどうしても必要な命があった。

それに抜擢された少女は悪霊と共に封印された。

大昔の小さな村の出来事。

よくある物語だけど、まさか現実に、しかもこんな身近にあったと思うとゾッとする。

大貴「俺、少女の魂を助けたいんだ。浄化したい」

涼介「でも、浄化するって事はあの封印を解くって事だろ。そんな事したら、一緒に封印されている悪霊まで解放しちゃう」

大貴「もちろん、悪霊は祓う」

光「祓うって簡単に言うけど、封印されてる悪霊だぜ。かなり、強い証拠じゃん」

本当に大ちゃんは突然、何を言うのか。

あの日以来、何か一生懸命調べてるなって思っていたら、まさか、そんな事を調べていたなんて。

しかも、大昔、祓えなかった悪霊を祓いたいと言い出した。

確かに今も苦しんでいる少女を助けたいと思う気持ちはよく分かるけど。

光「俺達はまだ、半人前すらもなっていない。出来る訳がない」

涼介「止めた方がいいと思うけど」

大貴「あのな、俺はこう見えて優秀なんだ。修行の時はいつも誉められてる。それに親父の手伝いを何度もしてるんだ。実際に祓ったこともある」

その自信はどこからくるのか。

慧「だけどさ。俺と光は術師であって悪霊を祓うなんて出来ない。悪霊の浄化だって」

大貴「霊なら浄化出来るじゃん」

まず、俺と慧が結界を張る。

封印を解いて悪霊が出てきたところで大ちゃんが祓う。

悪霊を祓ったら、俺達が女性を浄化する。

それが大ちゃんが立てた作戦。

確かに結界の中だったら攻撃は悪霊に当たりやすいが。

光「大ちゃんはいいけどな。俺と慧は浄化の方法を習ったばかりで実戦は1回だけだぞ」

大貴「その実戦だって一発OKだったって聞いたぜ。なっ、おねがいだ」

慧「何でそこまでして女性の魂を救いたいわけ？」

大貴「だって、可哀想じゃん。村の都合で生きられなくなってさ。数百年、ずっと悪霊に縛られて、亡くなってからも助けを求めるくらい苦しんでいるかと思うと何とかしてやりたいじゃん」

涼介「じゃあ、大人に頼んだら」

大貴「やらないよ。きっと。なあ、頼むよ」

必死で頭を下げる大ちゃん。

余程助けたいんだな。

まあ、確かに俺も可哀想だと思う。

結局、俺達はOKした。

俺達には霊聴の才がない。

そんな俺達が霊の声を聞いた。

それが何を意味するのか、この時の俺は、忘れていた。