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慧side


はっきり言ってしまえば、『命』をかけるぐらいだから、天ノ一族の秘密はこれだけじゃない。

正直、裏の顔だと言っている代弁屋も表の顔に近い。

本当の裏の顔には世間でいうところの悪いことが含まれている。

まあ、良いことも含まれているけど。

それで言ったら、地ノ一族も同じことが言える。

地ノ一族も裏の顔があり、もちろんそれは表沙汰には出来ない。

当主である大貴もこの事はもちろん知っている。

今は大貴が表で、裏は父親が担っているがいずれ、大貴がどちらも背負うことになるだろう。

どちらにしてもこれは天地ノ一族でも一部しか知らない事だ。

だから、その事は絶対に話せない。





光「天ノ一族は全員見鬼の才があって、霊聴の才を持っているのは女子の一部だけ。

霊聴の才を持っている女子は代弁師になることが義務付けされて、術師は16歳になった時に適性検査を受けて合格したものだけがなる」

裕翔「だとすると涼介君は男だけど霊聴の才があるよね。しかも、術師じゃなくて代弁師」

光「まあ、涼介の場合はちょっと、特別…」

光が口ごもる。

仕方ないよね。

その原因を作ったのは俺達だから。

慧「あと適性検査を受けても、術師にならない人もいる」

俺は誤魔化すかのようにそのまま説明に入った。

慧「例えば、医師。霊力を用いて病気や怪我を診てくれる」

裕翔「なるほど。ん?それって天ノ一族専属だよね。専属の医師がいるのに何で俺を?」

光「一言で言えば医師不足。だから、体の弱い涼介が倒れたりしてもすぐに診てもらえないんだ。それで霊力関係は無理でも医学関係だったら、すぐに診て貰えるようにって裕翔を雇った」

裕翔「ああ、あの頃、俺は働いていなかったから」





慧「後は知ってのとおり、術師と代弁師はペアとなって代弁屋をするんだ。呼び出した霊が万が一暴走したら、浄化しないといけないからね。強制浄化になってしまうけど」

裕翔「ペア?」

慧「そう。ペア」

裕翔「でも、君達は…」

慧「3人組」

涼介の体には闇の気は良くない。

闇を発する霊から涼介を守りながら、浄化するのははっきり言えば難しい。

だから、術師は2人いるんだ。

まあ、俺達が涼介の事が心配で離れたくないのもあるのだけれども。

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作者名:hina | 作成日時:2023年5月20日 8時

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