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光side
「天ノ一族について教えてほしい」
そう、彼が言ってきた。
以前大貴がポロッと言ってしまったのを覚えてたんだろうな。
でも、彼は頭がいいから、俺達の態度からそれは秘密事だろうと考え、今まで触れてこなかったんだと思う。
それが遂に聞いてきたと言うことは相当の覚悟があっての事なのかもしれない。
だけど。
裕翔「ここで一緒に住むようになって半年たった。その間、涼介君を診てきたけれど、肝心な時に何も出来ない。いや、彼が病気になった時ですら、何も出来ていない」
光「そんな事はない。裕翔はよくやってくれているよ。涼介が寝込む回数は断然減ったし、以前より早く治るようにもなった。君のお陰だ」
裕翔「でも、今回は何も出来なかった。ただ、見ているだけだった」
慧「それは仕方ない。君は悪霊に傷付けられた体を治す術は持ってないんだから。でも、その後はしっかり診てくれた。こんなに早く熱が下がったのは裕翔のお陰だよ。俺達は感謝してる」
裕翔「俺は本当の意味で彼の病気とは向き合ってない。ただ診てるのは上面だけ」
慧「………」
裕翔「涼介君はこれからも病気で苦しんだり、代弁師として辛い事があったりする。俺は全てを知った上で彼の病気と向き合いたい。そして、君達も」
光「俺達は健康だ。何もない」
裕翔「体の方じゃない。心のほうだよ。君達は何か後悔している。それが君達を苦しめている」
光「………」
驚いた。
まさか、ズバリ的中させるとは。
やっぱり、裕翔は医師だな。
人を医学的に観察する事においては長けている。
だから、俺達の苦しみも見抜いた。
正直、裕翔がそう言ってくれたのは嬉しい。
俺も慧もずっと、この苦しみを抱えてきた。
どれだけ救われたら、と思ったことか。
でも……。
一族の事を話す訳にはいかないんだ。
一般の彼が全てを知ってしまったら、彼の命を俺達が…。
そんな事はしたくない。
何故なら、もう俺は裕翔をただの医師だとは思っていない。
裕翔は『仲間』だと思っている。
裕翔「分かってる。本当は知られてはいけない秘密なんだろ。絶対に誰にも話さない。何なら、この館から閉じ込めてくれたっていい」
光「いや。裕翔の口が硬い事ぐらい分かる。でも、これはそんな単純な事じゃないんだ」
諦めてほしい。
俺は心の中で呟いた。
すると、裕翔はしばらく考えて。
裕翔「もしかして、俺の人生に関わる?」
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作者名:hina | 作成日時:2023年5月20日 8時