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慧side
恐れていた事が起きてしまった。
涼介は霊に触れると亡くなった時の記憶を読むが、悪霊に触れるとそれを体内に吸い込んでしまう体質。
悪霊を吸い込めば、闇が涼介の体を蝕む。
体の弱い涼介にとっては命取り。
だから、悪霊に近づけたくなかったんだ。
代弁屋でも、闇に落ちた死者が涼介に触れないようにいつも気を張っていた。
なのに。
意識のない涼介の体は氷のように冷たく、死人のように顔が青白い。
唯一、胸だけが小さく、かなり弱く上下に動いている。
それでも、涼介が生きている証拠だ。
吸い取った闇が少しだったのがせめてもの救いだ。
あの時、全力で悪霊を消してくれたリュウに感謝しかない。
そのリュウも力を使い果たし、眠っている。
重たい空気が部屋中を支配する中、いきなり、光が大貴に掴みかかり、怒声が響いた。
光「大貴!!何で悪霊のいる旅館に涼介を誘った!」
大貴「俺だって、あんな奴がいるとは思わなかったよ!」
光「そんな訳ないだろう!お前が気付かない訳がない!」
侑李「待って!大貴は本当に知らなかったんだよ」
慌てて付き人が光と大貴の間に割って入り、止めようとする。
が、大貴を掴む光の手は離そうとしない。
光「女性の霊だって!?祓い屋の依頼じゃねぇか!何が休養だ」
大貴「確かに祓い屋の仕事だったけれど、お前達に協力をしてもらおうとは思ってなかった!普通に楽しんでもらいたかっただけだ!」
光「どうだか。本当はこれを狙ってたんじゃないのか」
大貴「はあ?」
光「あれが強すぎて、どうしようもないから、涼介に吸い取ってもらおうと…」
大貴「そんな訳ない!!!」
今日一番の怒声に皆、驚愕する。
裕翔なんて体が飛び跳ねている。
大貴「俺だって、涼介が苦しむのは嫌だ!!」
光「!!」
大貴「あんな姿見るのは嫌だ。俺達のせいで。俺のせいで涼介が辛い目に合うのはもう嫌なんだ」
慧「…………」
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作者名:hina | 作成日時:2023年5月20日 8時