代弁師 2 (ページ3)

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侑李side

今日は休暇で久しぶりに陽太と2人で出掛けた。

そんなときに見たことのある後ろ姿と猫に出会った。

侑李「涼介…君？」

彼が振り向くとやっぱり、涼介君だった。

でも、どうして。

彼は体が弱く、外出は殆どしない。

と言うよりも兄達が許可しないと聞いている。

しかも、どうやら1人らしい。

猫もいるが。

涼介「侑李君と…」

陽太「弟の陽太です」

侑李「何でこんなところにいるの？お兄さん達は？」

涼介「えーと」

侑李「もしかして、黙って出てきたの？」

涼介「あ～」

僕はサッと携帯を取り出した。

涼介「わあ！待って！電話しないで！」

侑李「黙って出てきたんだ」

涼介「ごめんなさい」

彼の話によるとどうしても食べたいクレープがあって出てきたと言う。

う〜ん。

わざわざ食べに行かなくても、クレープはテイクアウトが出来るって事知らないのかな。

知らないからここにいるんだろうな。

それにしても余程食べたいのか、一生懸命説明している。

仕方がない。

僕は一緒に行ってもいいか陽太に相談しようとした。

ところが。

陽太「俺達もそこに用事があるから一緒に来る？」

おお。

我が弟ながら優しい。

涼介「え？いいの？」

陽太「いいよ。ついでだし。ねっ」

ついでじゃないでしょ。

僕達が行こうとしたのは全然、別のところ。

でも。

侑李「うん。かまわないよ」

陽太の優しさに異論はない。

涼介「有難うございます」

彼は深く頭を下げた。

公園に着くとそれはすぐに分かった。

鮮やかな色が目立つワゴンに女子達が並んでいる。

まあ、ちょっとだけ男性もいるけど。

涼介君は「奢ります」と言って、僕達の分までクレープを買ってくれた。

人目の付かない場所で男3人がベンチに腰を下ろす。

と言うのも、近くの茂みでリュウが美味しそうにクレープを食べているからだ。

猫がクレープって…。

僕の隣では涼介君まで美味しそうにクレープを食べている。

しかも、お互いにイチゴ尽くしクレープ。

…………。

まあ、いいか。

陽太も美味しそうに食べてるし。

クレープを食べ終わり、お茶を飲んで一息付く。

このまま帰るかどうか迷ったが「もう少し、ゆっくりしたい」という涼介君の要望でベンチに座っていると風にのって、それは聞こえてきた。